鬼は逃げる

今日が今年最後の営業日だと知り、自宅近くの本屋に立ち寄った。今年、脅威が社会を覆う真っ只中に誕生したこの本屋さんに、自分は何度も救われた。身近にこういうセレクト本屋があることが暮らしに潤いを与えてくれることに、驚いた。まさかそんな暮らしができるとは思わなかった。

 

今年1月に参加したワークショップ(※)でお会いした詩人のウチダゴウさんの詩集を手に取った。「みせのなまえをかんがえる」をテーマとしたそのワークショップでは、「未来の自分が言って恥ずかしくなるようなことばにしない」「高すぎる目標を示唆することばにしない」など、ことばを選ぶ際の注意事項を学んだ。そのときのウチダゴウさんの、ゆっくりと朗読したときの感情の起伏を、思い出しながら読んでいる。どうやって読んだら、この言葉が自分の身体の中の空間にすっぽりとはまるだろうか、と考えながら読んでいる。

 

あのワークショップから、もうすぐ1年なのか。あのとき考えた「みせのなまえ」は、いまも机の目の前に貼ってある。その名前のお店を、夢物語でなく、本当に実現させてやろうと、割と真剣に考えている。同時に、こうして本を読むことで心がちょっと潤ったストーリーを、他人に伝え、共有する、そんな営みのことを。

 

鬼は逃げる

鬼は逃げる

 

 

(※) 

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