コーディネートで携わっているコーポラティブハウスに、打合せで行ってきた。住まいを拝見し、愛着をもって暮らしてくれていることを強く感じた。
「朝起きた時に、この窓から射し込んでくる光を浴びるように廊下を歩くのが気持ち良いんです」「窓越しの緑を眺めることができるので、ここが特等席なんです」住まい手の話を聞いて私の心まであたたかくなった。きっと、長年住んでいるからこそ気づけること、味わえることがたくさんあるのだ。他人が聞いたら、ほんのささいなことのように感じられるかもしれない。また間取り図を見ただけでは、その魅力に気づかないかもしれない。けれど、実際に愛着を持って暮らしていれば(時間をかけて暮らすことがポイントだと思う)、そうしたささいな点に喜びを見出すことができるのではないか。
4月で、今の住宅に越してきて4年になる。あっという間という言葉がぴったりだ。自分で好きなように仕上げ材を選び、持ち込む家財に合わせて間取りを決めた。そうやってつくる過程から関わった住まいには当然「好き」が詰まっていて、毎日快適だ。むしろ次の住まいを考えた時にちょっとやそっとでは選べない。言い方はあまり良くないけれど、住宅情報サイトで見られる物件の大半にはまるで興味が湧かず、普通に住める気がまるでしない。そう感じるようになったという点は、自由設計の住まいに暮らす人にとってデメリットと言える。
その約4年が長いのか短いのかは意見が分かれるところだろうけれど、これまで住んできて、自分なりの快適ポイントがいくつかある。それは書斎で座って見上げた時の吹き抜け越しの光であったり、青空であったり、壁に飾ったお気に入りの絵だったりする。階段に座って壁面本棚を眺めるのも好きだ。こうした快適ポイントは、たぶん他人に「これが良くてさ」と説明しても充分には伝わらない気がする。住まい手だけが味わえる楽しみのように感じられる。
その「住まい手だけが味わえる快感」を、他者に正確に伝えられるような言葉を身につけたいと思っている。そうすれば、その言葉を人から人へと伝えて、住まいの中の居心地の良い場所を上手に探しあてられる人を増やすことができるのではないか。