シュークリームの箱を抱えて歩く

仕事の帰りにケーキ屋に立ち寄り、シュークリームを買った。思ったより早めに仕事が終わった日曜日の夕方前、ちょっと気が緩んだかもしれない。帰りの電車の中で、どこで道草を食おうか迷った挙句に、絶品のシュークリームのあるケーキ屋にしようと決めた。久しぶりに入った店内、にこやかで丁寧な店員さんに触れ、一日の疲れが(それほど疲れてはいないけれど)吹き飛んだようだった。

 

家まですぐの場合、箱を手に載せたまま歩いて帰る。無造作とか乱暴とか、そう言われればそうかもしれないけれど、手提げをもらう習慣はほとんどなくなった。歩いている最中、いま不注意で誰かとぶつかったらおしまいだな、と想像しながら、ほどよい緊張を抱えながら歩くのがまた良い。そういえば、ケーキではないけれど、買った花束を無造作に抱えて歩くクライアントの話を以前聞いて、そんなさりげないカッコよさを秘めた人間でありたい、なんて思った。花に対してケーキでは、「花より団子」みたいであまりカッコよくないが。