本を読むことによる害

もし本を読むことに害があるとしたら・・・。と、ふと考える。他人より多少本を読んでいるという自信があって、それなりに知見を得ているだろうという自負がある。その自負が、自分を自分勝手にさせているのかもしれない。そう思った。

 

仕事仲間と電話で話をしているとき。自分の方がモノを知っているのだ、自分の方が正しいのだ、というように思い込んでしまい、相手の言葉に耳を傾けていないことに気づいた。相手が年下で、対等な関係と言うよりは後輩と言った方が近い立場だったから、なおさらだ。

 

自分は穏やかな人間でありたいと思っている。割と強くそう思っている。しかし、そうであるにもかかわらず、電話口で逆にまくしたてるようにしゃべっていることに気づき、焦った。こうありたいというイメージと真逆なことをまさにいまやっていた。自分はこうすべきだという考え、このように進めよう、と頭に描いていたことを、どんどんと吐き出してしまっていた。

 

こういうときは、相手の言葉をなにより一旦、受け止める。自分の方が正しいと思っても、相手の言葉を否定しない。そうすることが大事だと思っている。言うは易しで、なかなか実行は難しいなあと感じる。

 

本を読むことで中途半端に知識を得たという自信を持ち、それを相手に示そうとすると、たいていは後で(言わなければよかった)と後悔する。若干感情的にもなり、早口でかつ大声で、べらべらとしゃべった自分の口汚さに嫌気がさす。そんなストレスを感じるなら、いっそ本を読まない無知な自分でいた方が、気が楽なのかもしれないとすら思った。