吹抜と壁面本棚

新居は、1階と地下1階のメゾネット(二層)構造。今度は吹抜に面する壁に、壁面本棚を設置する。置いたら部屋がどうなるだろう、きっとさらに引き締まるんじゃないだろうか、なんて想像をしながら過ごしている。

 

楽しみである一方、新たな問題も発生した。ほんとうに贅沢すぎる悩みなのだけれど、吹抜の壁であるがゆえに、さらに上に本棚を足して、2層分の壁面本棚にしたい、という夢がふくらんでくる。いままでは2.4mの天井いっぱいの本棚だったけれど、今度はさらに上に空間がある。この空間を、同じように本棚で埋めたらまた荘厳だろうなぁ、と思ってしまうのだ。

 

しかしここで、設計者側、といったら怒られるけれど、住戸の設計コンセプトから考えると、この吹抜は地下のリビングに光を導く大切な空間であり、自分も最も気に入っているポイントだ。ダイニングでくつろいでいる時、ふと斜め上を見ると縦長のFIX窓を通して隣家の大木や空が見える。光も、この景色も、なるべく犠牲にしたくない。天井まで続く壁面本棚という憧れはもちろんあるけれど、それと吹抜を通して光を感じる住まいの快適性とを天秤にかけて、それでも自分は本棚を選ぶだろうか。いまの自分の答えは、ノー。壁面本棚ありきで設計したし、将来二層分まで増やせたらいいなぁという想いは最初からあったけれど、いざ実際に住んでみると、増やすことがなんだか罪のようにも思えてしまうのだ。

 

なぜ天井までの大きな本棚にしたいのかと自分の心にたずねると、「かっこいいですね」「これだけの本棚に入っているたくさんの本を読む人なんですね」と他人に思われたいから、という答えが返ってきた。結局、他人の目線を気にしているだけじゃないかと思った瞬間、まぁ他人から良く思われたいという気持ちが本を読むモチベーションになるというのも否定はしないけれど、なんだか気が抜けてしまい、もっと住まいとして居心地の良いようにつくろうよ、という至極当然な結論にたどり着いた。そこに「居る」自分が気持ちよいかどうかを優先して決めようよ、と。

 

といいながら、考えもコロコロ変わる最近だ。数日後には全く逆のことを心に決めているかもしれない。