M:マルシェ -marche-

f:id:bibbidi-bobbidi-do:20140413170417j:plain

f:id:bibbidi-bobbidi-do:20170708152503j:plain

 

きっかけは、勝どきで開催している「太陽のマルシェ」だったのだと思う。公園にテントを立てて、野菜やジャムなどを売る。そこにたくさんの人が集まって賑わう様子がすさまじくて、こういうのがまちづくりなんだ、こういう場所をつくることがまちづくりなんだ、と思った。失礼な話、勝どきといったら埋め立て地で、昔からあったまちではなく、ということはそこに昔から住宅地があったわけではなく、比較的新しいまちに地域コミュニティなんてないんじゃないか、と思っていた。でもそうじゃないんだということを、このマルシェに出くわしたことがきっかけで、知った。

 

timealive.jp

 

いま事務所で進めているプロジェクトが二子玉川にある。再開発エリア「二子玉川ライズ」の賑わいはすごい。駅前にはもともと高島屋があり、裏には風情のある石畳の店舗街がある。二子玉川ライズにはショッピングセンターがあり、蔦屋家電があり、と、休日はその周辺をみてまわるだけで一日が終わってしまうくらい刺激的なお店が集まっている。公園の緑や土を感じるのも気持ちよい。ただ、そうしたお店、公園といった「そこにありつづけるもの」よりも、むしろ自分の興味の対象は「そこに現れるもの」にある。「オリーブマルシェ」と遭遇して、そのことに気づいた。

 

olivejapan.com

 

オリーブオイルを売るマルシェなんて、どんだけターゲットが絞られるんだよ、と思うのだけれど、これが賑わっていて面白い。オリーブオイルにそんなに選択肢があるのか、そんなに深い世界があるのか、なんならちょっとその世界をのぞいてみようか、と思わずにはいられない。二子玉川でやるから成り立つんだ、と言い切ってしまえばそれまでだ。しかし、例えターゲットが限定されていたとしても、なにもない空間に売り手と商品が現れて場所ができ、人が集まり、賑わい、交流が生まれるというのは面白い。それがなぜなのかは自分自身よく分からないけれど。

 

そこに行きたい、と思わせる価値をつけて、何もないところが「市場化」する。売り手は自慢の商品を持ち寄り、紹介する。買い手は新しいもの、いままでにないものを求めて、そこを訪れる。売り買いが仮に成立しなくても、売り手と買い手との会話から新しいストーリーが生まれる。売り手同士、買い手同士でもありえるだろう。こうした新しい発見、新しいストーリーが生まれるような場所を、自分はつくりたかったのだ。その手法の一つが、自分にとってはコーポラティブハウスだったのだ。という、自分の夢の根源的なことを、マルシェきっかけで思い出した。