人間と動物の違い

このところ、なんか嫌な気分になるような事件や事故がほんとに多いなぁと思う。きっとそれは最近に限ったことではなく、以前からもあったに違いないのだけれど、なぜか最近、ひとつひとつのニュースが、胸に突き刺さるように感じる。孫が祖父母を殺したとか、妻が旦那を殺したとか、飲食店で女の子を殴り殺したとか。そうなるような精神状態がまるで理解できない、そんなのありえない、と思って嫌な気分になってハイ終わり、加害者の背景に関心を持たない私は、思考停止なのか?

 

小学校の教師が児童に手を出したとか、そういうのも聞く。こういうニュースを聞くと、自分が子供のころは本当に恵まれていたなぁ、と思う。いや、怒られてぶたれるくらいのことはもしかしたらあったかもしれないけれど、それほど騒がれるようなことではなかった。小学校の時の男の担任の先生が当時とにかく怖かった。体罰という体罰はなかったと思うけれど、怒り方がとにかく怖くて、日々おびえていた記憶がある。その担任にも、数年前に久しぶりに小学校の同窓会で再会し、当時は自分も若くて血の気が多くて、なんて反省の弁を述べていたくらいだから、ただ感情的になっていたのではなく、試行錯誤をしながら頑張って指導方法を模索していたのだと今になって思う。

 

その担任の先生に教えてもらったんだったかな。人間と動物の違いを知っているか、と聞かれたことをなぜか覚えている。「それはな、理性だ」先生は堂々と、子供である自分に教えてくれた。例えばお前は、授業中に教室で突然小便をしたりしないだろ。したら恥ずかしいと思うだろ。それはお前に理性が働くからだ。だけど動物にはそれがない。そういうことだ。・・・それからいまに至るまで、「人間と動物の違いは、理性の有無だ」と頭に刻んでいる。でも、ほんとにそうかぁ?といまはちょっと疑いの気持ちもある。先生の教えを素直に受け入れるだけでなく、果たして本当にそうか、そこに誤りはないだろうか、と考えるくらいまでに、自分はオトナになったということなのだろう。

 

人間と動物の違いは・・・悩むか悩まないか、じゃないだろうか。自分は悩む。いつも、くよくようじうじしている。朝になると、今日は仕事でクライアントに嫌味を言われるかもしれない、終わらせなければならない仕事が終わってないことで仲間から見放されるかもしれない、どうしよう、と悩み、なぜか咳が出る。咳と悩みとの因果関係は不明だけれど、朝や仕事中に多く、休日は少ないということを考えると、まるで無関係とも思えない。それくらい悩みが尽きない。きっと、自分に限らずみんなそうだ。だけど、犬や猫、馬を見てどうだ、おおよそ悩みを抱えて放心状態に陥っているようにはまるで見えない。うらやましい。