K:亀山薫 -Kameyama Kaoru-

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いまでこそ国民的刑事ドラマとなった「相棒」だけれど、シリーズとしてスタートした当初から、そのストーリーは格別に面白かったと思う。好きな俳優さんが出演しているから、とか、男二人が互いに協力しながら、弱点を補いながら事件を解決していくというテーマが自分の好みに合致したから、とかそういった偏見を抜きにしても、他に敵はないんじゃないか。一番最初は、昔大好きだった刑事ドラマ「はみだし刑事」が終わってしまって、「高見兵吾ロス」に陥っていた時に、新しく始まったドラマとして観はじめたと記憶している(注:調べたら、はみだし刑事が終わってから相棒がスタートしたのではなかった。シリーズ末期に相棒が始まって、交互に放送していた)。だから、「はみだし刑事」の面白さに匹敵するドラマであるはずがないというのが、正直な気持ちだったと思う。しかし不思議なもので、観始めたらどんどんはまり、特に亀山薫の熱血ぶりが、心を打った。

 

「王様のブランチ」にレギュラー出演しているかっこいい俳優さん、というのが最初のスタートだったと思うけれど、寺脇康文さんの魅力は、相棒でなければ観られないのではないかとさえ今は思う。頭脳明晰の天才、正義を追求する杉下右京の相棒として、右京にはできないことで事件を解決していく。間が抜けているところがあるから、完璧人間じゃないから、「雲の上の存在」ではない「自分もこういう男でありたい、という目標」になりうるのだと思う。

 

シーズン2(2003年)の「クイズ王」の冒頭、3問間違えると誰かを無差別に撃ちます、という犯人と戦うシーンは私にとって、シーズン15まで続いている相棒の歴史の中でも一二を争う名場面だ。一つの携帯電話に顔を寄せ合う右京と薫が、「相棒」の魅力を的確に表していると思う。

 

島根県の県庁所在地を聞かれ、堂々と「松山」と言っちゃうようであっても、いいじゃないか。江戸幕府を開いた征夷大将軍徳川家康だと分かるんだから。それよりももっと大事な、男としてかっこいいなぁと思わずにはいられない、正義を貫く姿勢を見せてくれるんだから。そのかっこよさは、円周率小数点以下第151位の数字を3秒で答えてしまう右京さんにも、ない。