成熟

今週のお題「マイ流行語」

 

しばらく前から、自分が少しずつ成長しながら生きるという意気込みを「成熟」という言葉に込めている。内田樹さんの著書の中では度々登場するこの言葉、今の自分を支える重要な言葉だと感じている。流行語を、刺激がありながらも一瞬で廃れてしまう即効性のある言葉と捉えるならば、当てはまらないのかもしれないけれど、今、自分が積極的に口にすることと文字に書き記すことを好んでいる状況から、そう言っていいのだろうと思う。

 

思えば、自営業を始めることを決意したのは、そしてそれが本屋であったのは、自分にとっての成熟を他人と共有したい、という想いが発端だった。本を読んで心に去来した「なんだか得した感覚」「成長したなぁという実感」は、決して一時的なものでない快感で、それを他人にも味わってもらうことが自分の一つの使命なのかもしれない、なんて大げさなことまで考えた。今でも自分が本を選び、他人に紹介するその基準は、「それを読むことが読み手の成長に資するか」であり、その成長という言葉を言い替えたのが「成熟」なのだと思っている。成熟した市民、成熟した「まっとうな大人」が一定数いることが、社会が存続するために必要である、というのは内田樹さんの言葉。それが7%いれば良い、という言葉には、そんなに少なくていいの?と疑問を持つけれど、ひとまずはその7%を目標に、まず自分がその7%のうちの一人であることを目指し、そして自分に関わる周囲の人間をその7%へと送り出すこと、それが私の役割なのだと、今は強く感じている。