成熟した大人の証

GLAYのHISASHIがYouTubeチャンネルを持っていて、そこで「カタカナ禁止飲み」という動画を投稿している。GLAYのメンバーが集まって「カタカナ言葉」を禁止しつつ楽しくしゃべるというもので、2020年の年末に引き続き第二弾の企画。GLAYには名曲が多く、またメンバーもいわゆるロックバンドのような「無理にかっこつけた」感じがなくて、昔から大好きなバンドだ。彼らの「他愛のないおしゃべり」である本動画は本当に中毒性が高く、部屋で何か別のことをしているときのBGMとしても活用している。一昨日くらいに公開された動画だけれど、もう5~6周は観ていると思う。

 

つくづく感じるのは、メンバーの「雄弁さ」と「自然体であること」。それこそ「誘惑」や「SOUL LOVE」、「サバイバル」を発表し、日本を代表するロックバンドと形容されることに違和感がなくなったころに、HEY!HEY!HEY!など音楽番組に出演していた彼らは、まぁ不愛想とまでは言わないけれど皆口数が少なく、声は小さく、ダウンタウンに突っ込まれたりしていた。それがいま、目の前でテーブルを囲んで飲んでいる彼らは上機嫌で、話題が尽きない。特にHISASHIはマシンガンのようにしゃべり、禁止であるはずのカタカナ言葉を、もはや言わないように注意することを放棄してるんじゃないかと思うくらい話して、メンバーの笑いを誘う。動画内の4人の中でHISASHIが一番口数が多いだなんて、1998年頃にテレビで彼らを観ていた人のうちいったいどれだけの人が信じるだろうか。

 

彼らのこの変化の原因は何だろう。そう疑問を持った時、そう言えばと、これまた大好きなLUNA SEAのメンバーも頭に浮かんだ。INORANとJはHEY!HEY!HEY!でもほぼ喋らず、RYUICHIとSUGIZOが普通にしゃべって真矢がいじられて大爆笑、なんてのが定番だった。Jに至っては、「お前ナイフ持ってないよな」とか「だいぶ、人をやっつけてるよな」とか言われて、かなりの強面のように映っていた。しかしいまやINORANもJも上機嫌で雄弁だ。INORANなんて「INORAN Bar」なんてニコニコ動画のチャンネルを持っているくらいだ。こうした変化を目の当たりにすると、彼らが当時決して不機嫌だったわけではなく、温厚でよくしゃべるのが本来の顔で、それがテレビの画面に反映されていなかっただけなのだろうと思う。そして何より、彼らが大人になるにつれて寛容になり、テレビ番組や動画チャンネル、イベントなどで多く語ることへの抵抗がほどけ、彼らなりに表現することに対する使命を果たそうとしているのではないかといううことを、わたしは画面越しに感じている。

 

GLAYもきっとそうで、タレントがテレビの枠を越えて自身のYouTubeチャンネルを持つことが常識になったいま、彼らも自身のチャンネルを持ち、音楽にとどまらず価値を届けてくれている。この「不機嫌(そうに見える状態)から上機嫌へのシフト」「無口から雄弁へのシフト」が、成熟した大人の証であることを示しているのだと思えてならない。

 

わたしもそうやって成熟した大人と思われるようでありたい。そんなことを考えながら、休日、彼らの他愛のない話を聞いてのんびり過ごしている。

 


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