新しい雑貨屋

自宅近くに新しく雑貨屋さんがオープンしているのを、店の前を通りかかって知った。

 

そこには以前、雑貨屋というか文房具屋というか、とにかく雰囲気のよいお店があった。小ぢんまりとした店内で入るのにちょっと勇気が必要だったことと、その時に雑貨や文房具を新しく出迎える心の余裕がなかったことから(いまになって、そうやってお店に入らなかった自分を正当化する)、一度くらいしか行ったことがなかった。それが26年続いた雑貨屋であることを知ったのは、店の前を通りかかって閉店を知り、改めてそのお店のことをインターネットで見たからだ。もっと行っておくべきだった。いつだって、閉店した後に行かなかったことを後悔する。

 

新しくオープンした雑貨屋さんの店内の様子を、歩きを止めることなく外から眺める。なんとなく、新しいお店に対する警戒心みたいなものがあって、自分が必要とするようなものを扱っていないのかもしれない、いや、扱っていない可能性の方がはるかに高い、そう感じたのだと思う。器が並んでいるのが見えて、こういうお店で器を選ぶのもいいんじゃないかと思ったときには、もう店を離れていた。新しいお店にとりあえず入ってみる勇気がなく、まずインターネットで、自分が行きたい店かどうかを調べてからにしようと思ってしまうのだ。なんとなく入ったものの、気に入ったものがなくて、何も買わずにそそくさと店を出る、といったことに対する恐怖心が、「とりあえず入ってみよう」という気を削ぐ。

 

「FREE PARK」看板を見て頭に入れておいた店名を、帰ってから検索する。気にせず、その時の好奇心のまま入れば良かった、と後悔した。モノにはそれぞれストーリーがあって、つくる「人」がいる。つくる人の想いを知り、モノにまつわるストーリーを知り、それを日常生活に取り入れる自分を想像する。ふとした瞬間に、幸せといったら大げさだけれど、楽しさを感じられるようなモノに出会えそうな気がした。

 

www.free-park.jp