本屋にあったらいいなぁと思うもの

本屋さんで、本のほかにこんなサービスがあったら楽しいだろうなぁ、というものを考える。本を売る、ととらえるのではなく、そこからさらに視点を広げて、本を読みながら快適な時間を過ごす、そんな体験を売る、ととらえる。そうするとおのずとアイデアがひらめいてくる。

 

ブックカバー。文庫や新書につける紙のカバー、街の本屋でつけてくれる店名入りのものも決して悪くはないのだけれど、それではなんだか味気ない。こだわってつくったものをつけたら本を持ち運ぶのも楽しみになる。それをオーダーしてくれる作家さんを紹介する、というのも良いかもしれない。

 

栞。文庫や新書にもともと挟まっている栞はとにかくかっこ悪い。ページを開いて、栞が目に入った瞬間に、あぁ、自分はいま本を読んで内面から豊かになっている最中なんだとわくわくするような、士気があがるような、そんなオリジナルの栞があったら素敵だ。これも、こだわってつくってみるのもありだし、オーダーでつくってくれる作家さんを探して紹介するのもありだ。

 

蔵書票。本を買って気に入ったら、その本に自分の名前と自分を象徴するイラストを刻印する。なんて美しい文化だろう。蔵書票の魅力にとりつかれて以降私は、気に入った本にオリジナルの蔵書票をべたべた貼っている。「この本は私のものだ。この本とは一生付きあうんだ」こう思えるような本に出会えた喜びを表現できる蔵書票を、もっとたくさんの人に知ってほしい。だから、本と蔵書票のオーダー制作をセットにしたら絶対に楽しめると思う。

 

コースター。自宅での読書のお供に温かい飲み物、例えば珈琲なんて最高に相性が良い。マグカップを置くコースターが自分だけのこだわりのものだったら、きっと珈琲を淹れること自体が楽しみになる。

 

色鉛筆。本を読んでいると、これは自分の心に深く刻みたい、そんな言葉に出会うことがたくさんある。そんなとき、ページの隅を折る、いわゆるドッグイヤーも良いけれど、色鉛筆で線をひくのもおすすめだ。自分はいま、レインボーペンシルを愛用している。その時によって違う色が出るのが楽しいから好きだ。「好きな本はなるべく汚したくない。アンダーラインは引きたくない」と思う時期もあったけれど、いまは気にせずガシガシ線を引く。ただこれは他人から借りた本ではできない。あくまで自分で買って、自分のものとした本にだけできることだ。だから、買うことに意味がある。

  

こうして考えると、本を読む暮らしを楽しむコツはたくさんあるのだということに気づく。「別になんだっていいや」で済ますのではなく、なんでもいいからちょっとこだわってみるだけで、劇的に楽しい読書時間が過ごせると思う。