大好きでよく行くカフェで、インスタグラムにハッシュタグをつけて投稿するフォトコンテストを企画していた。そのカフェへの愛を何か形のあるモノで表現したくて応募したら、優秀賞をいただいてしまった。身に余りすぎる光栄だ。
写真を撮ることに対しては苦手意識がずっとあって、センス良く写真を撮ることができる人をうらやましく思っていた。なんでこんなきれいに撮れるの?と。だから、フォトコンテスト開催を知ったときは、自分が挑戦する土俵じゃない、と思った。だけど一方で、自分の想いを伝えることができるチャンスでもあるし、インスタ映えなんて関係ないだろうと気持ちを切り替えることができたから、挑戦できた。
コーヒーだったり、マフィンだったり、賑わっている様子だったり、スタッフの笑顔だったり。撮る対象はいろいろあるけれど、自分が勝手にテーマとして考えていたのは、時間が経ってもその価値をなくさず、むしろ味わい深くなり続ける存在でいてほしい、という願いを表現することだった。そしてそれを示す象徴が、店の入り口にあるロートアイアンのサインだった。まだオープンして1年経たないけれど、鉄は自然に錆をまとって、街に馴染んでいる。錆を身につけて表情豊かになったサインが、これからも時間をかけて成長していってほしいという自分のカフェへの想いを代弁してくれているように、感じた。
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優秀賞の賞品としてミルをいただいてしまった。また宝の持ち腐れと言われそうだ。だけど、これを機に自宅で豆を挽いて、挽きたてのコーヒーを飲もう。
いままでは尊敬する方が挽いてくれたその豆を、今度から自分で挽くということは?それってむしろマイナスなんじゃないか?そのカフェでつくったコーヒーという、人の技術付きの味では、なくなってしまうのではないか?そんな不安が脳裏をよぎる。でもいや、そうじゃなくて、高品質の素材を使って自分でつくるということを、これから実践していこう。でないと、時を経て味わいを増していくカフェのサインのような味わい深いオトナに、なれない。