仕事を「振る」ということ

「何年待っても何年やっても答えは出ないぜ」 B.B.KINGのギターがそう言ってんだ YEAH!

(吉井和哉/フロリダ)

 

 

仕事帰りの電車内で。隣に座ったおじさんと、その前に立ったおじさんが、結構な大きさの声でしゃべりはじめた。その声量とまわりの混雑具合から、酒に酔っているのではないかと、つい身構える。二人の会話は、やはりというべきか、建設的とは思えない内容だった。やたらと俺に仕事を振ってくるんだよ。困っちゃうよね。自分でやったらいいんだよ。そんな愚痴が聞こえてきて、それはそれは大変ですねぇ、と肩をさすろうかと思ったけれど、とてもできない。

 

手元の本に集中する。と、ぱっと開いたページに書かれていたのが「「手伝って」と言う勇気。」。仕事を一人でやっているなんて思ってはいけない。自分で抱え込んで、もしあふれてしまったら、それこそ周りに迷惑をかける。手伝ってくださいと言える人が、強い。その言葉を読んで、自分一人で仕事を抱え込むことが多い自分への戒めとした。

 

隣で愚痴を言うおじさん。もしかしたら仕事を任せてきたその相手も、どうにか自分だけでできないか考えに考え、その結果、人に任せるのが正しいと判断し、嫌われることも覚悟して振ってきたのかもしれません。そんなに愚痴を言っちゃぁいけないですよ。・・・と思いながら、一方で、むやみに仕事を振られてイライラすることも確かにあるなぁ、と振り返る。「自分だったら、とりあえず自分でやってみることを考えるのに」と思う。隣で愚痴をいうおじさんと、まるで変わらない。

 

仕事を自分で片付ける方法を何としてでも考えるべきなのか。できないことはできないとすぐに見切りをつけて仲間に振るべきなのか。簡単そうで難しい、いつになっても答えが出ない問いのようだ。

 

孤独を生きる言葉

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