その履き心地がとにかくよくて、ここ数年ずっと履き続けているスニーカーがある。カクテルの名前と同じドライビングシューズのメーカーを初めて知ったのは何年前か忘れてしまったけれど、それ以来、仕事でも、カジュアルでも、オールマイティーに活躍している。
ドライビングシューズだから、ペダルの踏みやすさとか、足へのフィット感とかを大事にしている靴なのだけれど、車を運転しない自分にもぴったりだと思っている。そのコンセプトから考えると、自分はnegroniをnegroniらしく使っていないとも言えるけれど、まぁそんな使い方もありだろう、と開き直っている。カッコよくて、レザーの素材感があって、歩きやすい。靴にこんなフィット感を感じたのは初めてだった。
そんな靴も、ずっと履いていれば劣化してくる。あるとき、ラバーソールに穴が開いていることに気づいた。そんな強くない雨だったにもかかわらず、足に水を感じたからだ。どんなに愛して使い込んでも、むしろ使い込めば使い込むほど、その時は必ず訪れる。
もうだいぶ使い込んだから次のパートナーを探そうと思い、向かったのは前代からお世話になっている銀座三越。一番興味のあったカラーは残念ながらなかったけれど、それでもすぐタイプのものに出会い、手に取った。以前なら敬遠していたかもしれないカラーを、ちょっと勇気を出して選んだ。
前回買った時も確か対応してくれたベテランぽい店員さんに、これ履き心地良いですよね、と共感され、そして何気ない会話の中で、ラバーソールのみの交換修理もできるのだということを知った。そうか、その手があったか。というか、それくらい当たり前だよな、といまさらながら気づいた。そして、それこそが自分が本当に望んでいたことなんじゃないのか?とも思う。壊れてしまったから次の新しいものを買う、じゃなくて、壊れてしまった部分を直しながら、引き続き使っていこう、と。
新しい相棒との出会い、これは大切にしつつ、壊れてしまったことで半ば使うことをあきらめていた彼も、修理に出そう。ボディの革もだいぶ劣化しているけれど。経年劣化そのものを楽しめる寛容さを、持ち続けたいと思っている。