蘇える変態

この本を、夜、浴槽の中で、読んでいる。早くも暖かさが暑さにかわってきて、ただでさえ汗をかき始めるこの時期に、湯船につかって汗をだらだらかきながら、それも、午前中に自宅の給湯器の交換サービスを済ませ、心なしか張られた湯がいつもより多く、また熱く感じられる中、汗をだらだらかきながら、読んでいる。何を我慢しているのか。誰に対して耐えようとしているのか。変態か、おれは。

 

蘇える変態

蘇える変態

 

 

2012年にくも膜下出血で倒れた時のことを赤裸々につづっている。彼の言葉がリアルで、ページを捲りながら「いてー」「苦しいだろうなー」と思わずにいられない。一緒にするな!と彼に怒られるかもしれないが、2年くらい前、自分が尿路結石にやられた時のことを思い出して、ちょっとだけ彼と痛みを共有できた気がした。ただあの時の私には、看護婦さんのツンからのデレに安心するほどの心の余裕は、なかった。付き添ってくれた事務所のスタッフにも、駆けつけてくれた家族にも、恥部をさらしてしまった。

 

死ぬことよりも、生きようとすることの方が圧倒的に苦しいんだ。生きるということ自体が、苦痛と苦悩にまみれたけもの道を、強制的に歩く行為なのだ。だから死は、一生懸命に生きた人に与えられるご褒美なんじゃないか。そのタイミングは他人に決められるべきではない。自分で決めるべきだ。

 

そのことを、彼から教えてもらった。

 

こういう生身の人間らしい彼が、好きだ。