とっておくか処分するかの二択

部屋の本を片付けていると、必ず迷う瞬間が出てくる。この本はずっととっておこうか、もしくは処分しようか、という二択の迷いだ。

 

気に入っている本については迷うことはない。問題なのは、自分で選んで手に取ったのではない本だ。自分で「読みたい」と思って買ったわけではないから、手放しても惜しくない、と言えばそれでおしまい。しかし、例えば定期便で届いた本などは、その贈り主からの個別のプレゼントのようにも感じられて、手放すことに抵抗を感じる。その抵抗感こそが曲者だ。贈与を贈与たらしめているのがここにある。贈られたものだから、大切にしなければならない。大切にすることで、贈り主にその感謝を表明しなければならない。その義務感はときに人をがんじがらめにする。不自由にすると言っても良い。

 

この強迫観念を通り抜けて、今は「それでも無尽蔵に所蔵し続けられるわけではない。いずれ手放す時が来る。だから処分してもいいや」と割り切れるようになった。これについて実は自分は節操ないんだよな、ははは、と自分で自分を笑えるようになったと言っても良い。鈍感になった、とか、倫理観が欠如している、とか、言われるのかもしれないけれど、それも自分にとっては成長だと思っている。

 

今日も十数冊の本を処分した。壁面本棚に入りきれない本は、そのまま自分のキャパシティを超えている状態の現れだと思うからだ。はみ出た本は手放し、大切な本だけをとっておく。新たに買うことはちょっとだけ抑えて、今ある本を味わうことに専念してみる。今はそういう時期なのだろう。