「それは抵抗のつもりなのか。だとしたら下らない抵抗だな」
自分では抵抗だとは思っていなかったのだけれど、指摘されて冷静に振り返ると、そうか、抵抗していたのか自分は、と気づいた。そして、落ち込んだ。
確かに、そこに気遣いはなかった。イライラし、ついその感情が態度に出てしまった。不機嫌になる自分が嫌だったから、さあ上機嫌に、上機嫌に、と意識して、上機嫌になるための本も読みながら出社して、結果がこれだ。意識しているつもりが全然実行できていない。
本音を言えば、「そう言われて傷ついています、自分は」ということを相手に伝えたいという想いがあった。もしそのことに気づいてもらえなかったら、これからも傷つくようなことを言われ続ける可能性があるから。何を言われても心を波立たせないように自分が変わればよいのだけれど、それができない以上、「傷つきます」を伝えなければならない。そうでなければこれからも楽しく仕事をしていくことができない。そう思ってしまった。しかしその態度が結果として、場の空気を悪くし、相手を不愉快にさせ、自分も落ち込むことになった。全然いいことない。
心を波立たせないようにしましょう。いつもおだやかでいましょう。自分のペースでていねいに暮らしましょう。これが大変なことがおきても乗り越えるためのコツなのです。
(松浦弥太郎「孤独を生きる言葉」河出書房新社)
つらかったり、苦しかったり、
それこそ泣きたくなったり、
もうだめだと思ったり、
そんなことはしょっちゅうだけど、
そんなふうに何かあるたびに、
ふっとちからを抜いて、
何度も立ち返る場所というか部屋のよう。
それが、
いつも笑顔でいること。
にこやかでおだやかでいること。
いちばん大切なこと、手放したくないこと、
眉間にしわが一本入ったら、二本に増やすのではなく、
無理にでもしわを伸ばす。
(松浦弥太郎「泣きたくなったあなたへ」 PHP研究所)
心を波立たせない。表に出さない。仕事のスピードは落ちるかもしれないけれど、気にせず、深呼吸して、落ち着いて、丁寧に、ひとつづつ片づけていく。
心を波立たせることで、不機嫌になることで、イライラを表明することで、結果として自分が損をするということを思い知ること。
自分の幼稚さに眩暈がするけれど、過ぎたことは仕方ない。同じことを繰り返さないように。