妙典・塩焼と蕎麦屋

14年間、市川市妙典に住んでいた。大学を卒業して社会人になったときに、実家から引越してきた街が妙典だ。それから一度職場を変え、ずいぶん長い間お世話になった。川を越えるとすぐ都内という便利さと、それでも川を越えない分都内から外れたのどかな空気をあわせもった、快適な街だった。そこに14年間住んでいながら、一度も行ったことのない飲食店というのが実はたくさんあって、そのうちの一つ、塩焼の蕎麦屋「長寿庵」は、妙典を離れてから通うようになった。以前はこういう老舗感のただよう蕎麦屋はなんだか入りずらかったのだけれど、大人になった。

 

いまは月に2~3日ほど、本屋の仕事で妙典に行っている。昼食は長寿庵で蕎麦を食べている。今日は、たまには違うものにしてみようと思って五目中華そばを注文した。蕎麦屋でラーメンを食べたのはたぶん初めて。具だくさんで、素朴な味で、美味しかった。単品の普通ライスも大盛りだ。

 

いまは、妙典駅を降りて南の塩焼の方に歩き始めるともう口の中が蕎麦モードになる。なんで住んでいるときに通わなかったのだろう、と思うと本当に悔しい。