Season10-1 贖罪

シーズン10 第1話「贖罪」

 

いま、法科大学院で法律を学んでいる学生を支援する仕事をしている。そこで感じるのは、弁護士は、権利を侵害されて困っている人、期せずして刑事事件の加害者になってしまった人、トラブルに巻き込まれてしまった法人等に対して、手を差し伸べる重要な役割を担っているということ。はたから見たら「〇〇が悪いに決まってる」と思うようなことも、問題点をじっくり検討すると別の状況が明らかになるかもしれない。他者の意見、見解に惑わされずに、クライアントの利益を導く道を探る。難しいけれど、意義のある仕事だ。

 

「贖罪」は、15年前に女性を殺害した罪に問われ、刑を終えた城戸が、冤罪を主張して自殺するという話。当時、被害者につきまとっていた城戸に注意した神戸のことを「絶対に許さない」と言い残して。右京と神戸による捜査により、城戸が冤罪であることが分かる。サブタイトルの「贖罪」には、冤罪をつくり出してしまってなお逃げ続ける関係者に、贖罪の場を与えようとする右京の執念と、15年前に法廷で偽証した神戸の自責の念の、二つの意味が含まれているように思える。冤罪をつくり出さないために。法律を真に学ぶことは、そのためになくてはならない。