10年。
気が遠くなりそうなほど永い時間だ。
その間、それこそ考えられないほどたくさんの出来事があった。
生まれたばかりの赤ん坊は、小学校で勉強をしている真っ最中。
就職したばかりの新入社員は、勤続10年、はやければ管理職にでもなって会社を牽引する立場になっているだろう。
それくらい、人間にたくさんの経験をあたえる時間がそこにはある。
10年前・・・・
ぼくは高校生だった。
剣道部で毎日それこそ嫌になるほど竹刀を振った。
防具をつけた状態でいる武道場を「サウナ」と例え、毎日の練習を半ば惰性でこなしてきた。
入学できたことに結構誇りをもっていた地元の男子校。
そこでの青春はひたすら竹刀を振る剣道部の練習と、「彼ら」だけだった。
高校2年の年末。
2000年12月26日。
勇気を出してチケットを買って、初めて訪れた東京ドームで、「彼ら」に別れを告げた日。
「彼ら」と時間を共有する体内時計が止まった日。
当時の青春の半分を失ったことによる絶望は、その後の「彼ら」のそれぞれの活動を追いかける希望に変わった。
10年後。
ぼくは今社会人5年目。
曲がりなりにもだいぶ仕事は覚えてきましたし、それなりにやりがいは感じております。
『若者はなぜ3年で辞めるのか』なんて言葉があるけど、そこでいうところの「若者」にならずに済んだ点はほっとしている。
こうして一人暮らしをしながら自分のブログを立ち上げ、明日に仕事を控えた日曜日の夜、こうしてわけわからん文章を書いている。
その間、10年。
その間、ぼくは高校を卒業し、大学へ進学。
大学では好きな建築を勉強。
まわりの友達とのセンスの違いに圧倒され、「設計士になりたい」という夢を即座に諦めた。
「彼ら」への想いを、サークルで爆発させた。
初めて「聴く方」ではなく「演奏する方」を体験した。
研究室では大阪で、「ゴキブリがでる」という噂の集会所に一人寝泊まりし、本場の「まちづくり」を肌で感じた。
そして卒業、就職。
まさか「ゼネコン」に就職することになるなんて、内定通知をもらうまで思いもしなかった。
同時に、まさか「営業」の仕事をすることになるなんて、辞令がでるまで実感がわかなかった。
そして社会人5年目、今に至る。
あれから10年。
その間のことを思い返すと、ほんとに濃く、長い10年だった。
「もう一度あのころに戻ってやり直せる」と仮に言われても、戻ってやり直そうという気にならない。
そんくらい「やっと」な期間。
「彼ら」の「再起動」を知った瞬間、その長かった時間が一気に「あっという間」になった。
2010年12月23日。
「彼ら」と時間を共有する体内時計が再び動き出す。
昨日のチケット一般発売開始をチケットサイトを見ながら待機。
10時になった瞬間に「アクセスが集中」して操作が不可能に。
ネットをあきらめて電話をひたすらかける。
4度目くらいでかかった機械的な女性の自動音声が、そのときは神の声に聞こえた。
手続きを済ませ、いてもたってもいられず、すぐにファミリーマートへ行ってチケットを入手。
こうして夢の切符を手に入れることに成功した。
ぼくはこの伝説の証人になるんだ。
失われた10年。
「彼ら」も当然10年経っているわけで、あの時からどれくらい変わっているかわからない。
でも、ぼくにとっての「彼ら」は10年前のあの姿、あの演奏、あのパフォーマンスで終わっているので、今日までの時間の経過はほとんど実感がない。
ぼくにとって「彼ら」はシーラカンスのような存在だ。
そんな生きた化石が、どれだけパワーアップして戻ってくるのだろう・・・
2010年12月23日。
LUNA SEA
東京ドームで待ってます!