イニシエーション・ラブ

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価格:600円(税込、送料別)

「ニシエーション・ラブ」 乾くるみ 文春文庫


内気な大学生の「鈴木」は、友達に代打で誘われた合コンで「繭子」と出会い、一目ぼれをする。何度かデートを重ねるうちに、お互いに惹かれあい、恋人関係になる。

鈴木と繭子の甘い恋愛を描く「side-A」から一転し、東京への就職後の遠距離恋愛を描く「side-B」に移るのだが・・・ラスト2行でストーリーは思わぬ方向へたどり着く!



著者のことは本屋で「クラリネット症候群」や「蒼林堂古書店へようこそ」などの表紙を見てて知ってました。
でもその著書を読もうというところまでは至ってませんでした。
「必ず二回読みたくなる」というキャッチコピーに惹かれ、本屋で立ち読みをすると、その秘密がラスト2行目にあるという。
そのときは読もうと思ってなかった点、さらに生来のあまのじゃく気質な性格が災いし、その場で「ラスト2行目」を読んでしまうぼく。
当然、そこだけ読んでも、何が衝撃なのかが分からないまま、数日が過ぎ、それでも「最後から2行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する」という紹介文があまりにも気になり、ラスト2行目の衝撃度を確かめるべく、購入しました。
だから、普通の人とは読み方がまったく逆。
普通の人が衝撃を受けるはずのラスト2行目をあらかじめ知ってて、それがどう衝撃的なのかを確かめるように読むぼく。
はい、明らかに本書の楽しみ方を無視してます。
「ラスト2行目を先に読むようなマネはしないでください。本書の面白さが半減するどころでは済まされません」なんていいう書評もありました。
感想は・・・確かに衝撃的。
当然読んでる途中でラスト2行目の意味が分かっちゃった僕は、普通の人が最後に受けるであろう衝撃を体感することはできませんでしたが、それでも、スルメのように読後どんどん味がでてくるような話だと思う。
「えっじゃあ結局は繭子が悪女だったってこと?」とか、「時間関係はどうなってるんだ?」とか、いろんな疑問が出てきます。
とにかく、普通の甘ーい恋愛ストーリーでは終わらせずに、タイトル通り「イニシエーション=通過儀礼的な」恋愛を描いています。

何の予備知識も持たずに普通に読めば、普通に衝撃を体験できると思います。
でも、事前に張られてる伏線や、ちょっとした違和感に敏感であれば、もしかしたらラスト2行目にたどり着くまでに真相が予測できてしまうかもしれません。
ラスト2行目を予測しながら読むのも面白いかもしれません。

余談ですが、ストーリーと同じくらい衝撃だったのが、著者が「男」だと知った時です・・・