ロックが医療になる

THE YELLOW MONKEYが来年の4月に東京ドーム公演を行うことを発表した。年末の武道館公演が中止になり、残念に思っていた矢先のことだった。いつも何か驚くような発表をしてくれる彼らの気持ちが本当に嬉しくて、少し先の未来に向けての目標ができた。その日を楽しみに頑張ろうという想いが仕事や暮らしを前進させる力になったことが、これまでに何度もあった。きっと私はそうやって、時に萎れた心に水をやり、時に傷のついた皮膚を縫合して治癒してきたのだと思う。

 

私が尊敬する医師の稲葉俊郎は、著書「いのちを呼びさますもの」のなかで、医療と芸術との間に密接な関係があることを捉えている。

 

すぐれた芸術は医療であり、すぐれた医療は芸術である。

 

「美」も「医」も、本質的には同じところから発していて、それは自分や周りを幸せにし、引いては社会全体も幸せにするための手段だったのだ。

 

反骨精神の象徴とも言えるロックを「芸術」「美」の一例として挙げると、彼らからは「いやいや、そんなにたいしたものじゃないよ、ロックは」なんて謙遜されるかもしれない。しかし、「自分や周りを幸せにして、社会全体も幸せにする手段」という点では、充分に当てはまるだろう。ロックが優れた医療である、という言葉は、私にとっては比喩ではない。