無印良品とタバコ屋と水

妙典のイオンに新しく無印良品がオープンした。今日、初めて店内に入った。2階のフロアー、本屋の前から奥までの広いスペースがフローリング貼りで、印象の異なる空間になっていた。

 

その店内を歩いていて、ふと目に留まったのが、給水機。用意した水筒などに自由に水を入れることができるらしい。使うことがあるのだろうか、とその時は疑問だったけれど、帰宅後、家族から「無印良品には給水機があってすごいんだよ」と振られてびっくりした。災害などの有事だけでなく、のどがかわいて近くに自販機が見つからない時とか、わざわざジュースを買うほどでもない時とか、役に立つことはたくさんあるだろう、と言う。そして、「ほら、地元での『水ください』。それと一緒だよ」と言われてはじめて気づいた。だいぶ昔の話だ。そう言えば、家族に話したことがあった。

 

小学生の時。下校途中で喉が渇くと、通学路にある何軒かの家に行き「すみませーん。水くださーい」と叫ぶ。そうすると家の人が「どうぞー」と言ってくれる。庭の水道の水を飲ませてくれたり、コップに水を入れてくれたりするのだけれど、いま思い出してもびっくりするのは、自宅からほど近くのタバコ屋さん。そこで声を掛けると、店番のおばあちゃんが、やかんと、人数分の湯飲みをのせたお盆を持って現れる。丁寧に湯飲みにやかんの水を注ぎ、飲ませてくれる。もう家まであとちょっとなのに押しかけてくる迷惑な小学生に嫌な顔一つもせず、水を飲ませてくれたあのおばあちゃんは、もしかしたら人間ではなく神様だったのかもしれない。田舎の小学生ならではの、心温まるストーリーだ(実話です)(もちろん他の家の水を飲ませてくれたお母さん方も。あの時はありがとうございました)。

 

約30年の時を経て、無印良品が客に提供するサービス精神は、このタバコ屋のおばあちゃんと同じなのかもしれない。人間味と言う点ではちょっと違うかもしれないけれど、根本は一緒でしょう、と家族に言われて、そうだよな、と感心した。無印良品、恐るべし。