V:ヴィンセント -vincent-

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テレビ神奈川(tvk)の音楽バラエティ番組「sakusaku」を、youtubeで投稿されているのを毎日観ていたのは、10年くらい前のことだ。

 

千葉県民で神奈川のローカルテレビ局になじみがなく、そもそも自宅にテレビがなかったものだから、テレビでリアルタイムで観るなんてことはできなかった。だから最初にハマったきっかけはすっかり忘れてしまったけれど、黒幕さんが操る「白井ヴィンセント」が毎日早口で隣に座る女の子とマシンガントークを繰り広げる様は、シンプルなトーク番組でありながら楽しくて仕方なかった。ローカル番組ならではのシュールな進行。くだらないと言ってしまえばそれで終わりのようなことを真剣に笑い合ってしゃべる。そんな「面白いくだらなさ」が良かった。

 

ヴィンセントがとにかく可愛い。にこやかに笑っていて、大きな帽子が様になっていて、そして雪駄の裏を見せながら座る。黒幕さんがたまに手を持ち上げるたびに、立ち上がって宙に浮かぶのも可愛らしい。そして、オリジナルの曲をたくさんつくり、「みんなでうたおう」と言って素敵な曲を世に放ってきた。「相模原のうた(ハードロックバージョン)」とか「船橋のうた(オアシス風)」とか「多摩のうた(オレンジレンジっぽい)」とか、いまでも頭に残っていて、ふと脳内に流れることがある。

 

この番組がきっかけで、中村優ちゃんの大ファンになり(いまジョギングを続けるモチベーションになっている)、三原勇希ちゃんの可愛さにドキドキし、トミタ栞ちゃんの実家がラーメン屋だと知ったときには有給休暇を利用して飛騨高山までドライブし、ラーメンを食べた(突然のご本人登場にびっくりしすぎて緊張しすぎて、声をかけることもできず店をあとにしてしまったのはいまだに悔やまれる)。そしてヴィンセントの、おもしろおかしくしゃべる上機嫌さに、あこがれた。「みんなしてスマホをヒョヒョヒョヒョしやがって」といって頑なにスマホに反対していたから、当時自分もスマホをもたないことに自信をもつことができた。自分の好きなことについてはいくらでもしゃべっていられる、それくらい「好きなもの」があることが、人生を楽しむために必要だということも知った。何気ないトークのなかに、いまの自分を確実に形づくるようなものがあったのだと思う。