フーガはユーガ

伊坂幸太郎の新刊をいま読んでいる。事務所へ向かう電車内の広告でたまたま知って、電車を降りて、事務所へ向かう途中の本屋に、それを買う目的で、入った。店内に入ってすぐ、新刊コーナーにあったから、すぐに手に取り、レジへ向かう。知ってから買うまでの自分の行動のはやさに、自分自身驚きながらも、もしかしたら酔いしれているのかもしれない。彼の、すべての本を楽しめる人間でありたいと思っている。

 

劣悪な環境にありつつも、その現状と戦う双子の兄弟の関係が、「魔王」の安藤兄弟となんとなく重なる。いや、「重力ピエロ」の泉水と春かな。若干強気ながら男気のある弟と、聡明で冷静で、優しい兄。理想の兄弟像だ。不思議な能力をもつ兄弟のストーリーがどう収束していくのか、とても楽しみ。

 

フーガはユーガ

フーガはユーガ

 

 

 

事務所に着いたら、先週乗ってきて1週間置いていた自転車に乗って、事務所の仲間と駒沢公園へ。サイクリングコースを3周走ったあと、そのまま帰ってきた。駒沢公園から行徳まで、30キロちょっとを2時間半かけて。復路は往路より楽だろうと思っていたけれど、そんなことは決してない。上り坂が足腰に激痛を与え、酸素を奪う。寒いくらいなのに、汗をかかせる。何度もやってくる交差点の信号は、たいてい自分の目の前でその色を青から黄色、赤へと変える。景色を楽しむ余裕は、やはりなかった。

 

自分の新しい趣味として定着するのはまだ先な気がする。それでも駒沢公園のサイクリングロードをまわっているときは、すこやかな風が顔を撫でて、気持ち良かった。ダンスの練習をする若者。部活動と思しき、ジョギングに汗を流す学生。芝生に座って休日を満喫する家族。それぞれを眺めながら、スイスイと自転車をこいでいると、これがサイクリングの良さか、と思える。こういうアクティブな休日も、なければならないと思う。

 

 

この度、事務所でいま手掛けている賃貸住宅プロジェクトに、自分自身も参加することを決めた。賃貸なのだけれど、建てる前に参加を表明することで自由に設計することができる、という新しい取り組み。大家さんから借りるという賃貸住宅本来の仕組みはそのままで、住まい手が好きなように設計し、間取りを決め、内装材を選ぶことができる。


自由設計の住まいは、なにも「所有する」「購入する」ことでしか手に入れられないのではない。持たない暮らしがもっと自由でもいいんじゃないか、という想いから始まったプロジェクト。場所は自由が丘。完成は再来年3月ごろ。まだ少し先だけれど、長年の夢であった自由設計の住まいづくりに参加できることが、嬉しい。とともに、これまで「職場のまち」という位置づけだった自由が丘が「住むためのまち」になるのが、不思議であり、これまた楽しみ。駒沢公園に行ってサイクリングやジョギングを楽しむのだって、もっと日常になる。なんかそれだけで、身体も心も健康で、豊潤な人生(ラッシュライフ!)になりそうな気がしてしまう。ちょっとこじつけだけれど、ユーガのような、聡明で、冷静で、優しい兄貴像に、近づけるんじゃないかという気がしてしまう。


■自由設計のできる賃貸住宅を、自由が丘で企画しています。

http://01-office.co.jp/chintaiproject/intro.html