オーダーメイドの魅力

オーダーメイドの良さってなんだろう、とふと考える。

 

モノを買うときに、それを選ぶ理由はいろいろある。色がかっこいい、形がかっこいい、好きな人がつくったものだから・・・。でも、それが既製品である以上、誰もが買うことができるし、たくさんの人が欲しいと思うように設計されている。だから、自分がそれを買うことに特別な意味はない。例えば、家具でも服でも装飾品でも何でもいいんだけど、それを気に入って買ったとしても、そのモノに「お前は僕のことを気に入ってくれているけれど、僕のことをもっと好きだと言ってくれる人が他にいるからさ」と言われたらと思うと、悲しくなる(ことがある)。それ以上、そのモノへ愛情が注げない気がする(ことがある)。理想は、他の人には合わないけれど、自分だけにぴったり合う、というもの。自分だけがそれを欲しいと思えたから手にする、というもの。そうすると自動的に、「自分のためにつくってもらう」オーダーメイドになる。自分のためだけにつくられたモノをもつことによって優越感を得られる点が、オーダーメイドの良さだと思う。

 

そしてもうひとつ、オーダーメイドに魅力を感じる理由は、つくることに時間と労力をかけたという事実が自分を嬉しくさせるから、だと思っている。時間がかかればかかるほど、労力を使えば使うほど、愛着がわき、自分だけのものなんだと思える。その時間を経て得た経験が、心を満たすのではないだろうか。

 

本棚を家具屋さんにつくってもらったことがきっかけで、オーダーメイドの魅力を再認識した。いまもこの文章を、本棚に寄り添う机で、つくってくれた家具屋さんに感謝しながら、書いている。この本棚の良さを味わえるのは自分一人で十分、とも思う。

 

自分の身のまわりのもの全てをオーダーメイドにするといったら無理もあるだろうけれど、できるだけ増やしたい。