「がさつ」をなくす

事務所の実績ファイルをつくる作業をしていたときのことです。プリントした紙を整理していたら、事務所の仲間に「紙を持つ力が強いから気を付けた方がいいですよ」と言われ、はっとしました。複数枚ある紙を漫然と整理するうちに手の動きが雑になっていき、徐々に紙を持つ手に力が入り、紙がかすかに折れるくらいにつかんでいたようでした。「あぁ、ごめん」そんなに雑に扱ったりしないよ、と少し気分が落ちたものの、すぐ、いやまてよ、と気づきました。あんまり意識していなかったけれど、きっと人一倍こういう手作業が「がさつ」であり、おおざっぱなのではないか、と。

 

紙の扱いに限らず、とちょっと自分の動きを振り返ってみると、他にもありました。パソコンのキーボードを打つ力が強くてスタッフから「すごい音だね」「怒ってるの?」と言われたりします。自分では強く叩いているという意識はなく、特別機嫌が悪いわけではないけれど、なんか力が強いようです。ペンで字を書く時だってそう。よく人に「筆圧強いね」と言われます。もちろん筆圧が強い=がさつ、というわけではないけれど、用紙に文字がめり込んでいるのを見て、優しい気分になる人はそうはいないでしょう。さらっと、滑らかに書かれた字のほうが安心感があって、読みやすそうです。

 

そっと、静かに。雑にしてはいけない。そうやって意識していることだってあるんです。例えば電車で座席に座るとき。すでに座っている人の隣に座るときは特に、そっと、静かに座ることを心がけています。もし自分が座っている隣にドスッと飛び降りるように座る人がいたら、すぐに立って車両を変えたくなるくらい嫌な気分になるからです。あと、ドアの開け閉めとかは注意するかな。ドアから手を放して閉めたり、ましてや力を入れてバタンとしたりせず、閉まるところまで手を添えるとか。でも、この注意力が、すべての行動に行き届いているかと言うと、なかなかそうはいかないのが実際です。

 

何をするにしても、雑はダメ。ぼーっとして心ここにあらずの状態だと、ついモノに対しても雑にあたってしまいます。特に自分の場合、たいして急いだところで変わらないだろうというところでもせっかちで、一挙手一投足が早いんだけど、力んでいるので、きっと人の目にはがさつに映ると思います。すべてにおいてスローモーションであるべき、とは思わないけれど、少なくとも無意識に雑な動きをするのを減らして、ソフトな行動を心がけたいと思います。いつも、ていねいに。