主に夏、私の心を躍らせてくれる、衝撃のパフォーマンス。もともと、娯楽といえば、好きなロックバンドの曲ばかり聴いていた、つまりは、音楽が自分にとっての娯楽の全てであった、そんな私が、音楽以外のエンターテイメントに初めて足を踏み込んだのが、この「ブラスト!」だったように思う。
日本人パーカッションプレイヤー・石川直さんとの掛け合いが楽しめる「バッテリーバトル」は特に圧巻だ。相棒を務める外国人プレイヤーは、超小刻みに太鼓をたたくそのスティックをそのまま耳に乗せるなど、そのスーパートリッキーな技術で観る者を驚かせる。それに対し石川さんは、超速ながらも終始同じリズムを刻み、聴衆に安心感を与える。コミカルな演技(観客(おそらく女性)に名刺を渡して「電話してね」と手を耳にやるしぐさ)でふと和ませたと思えば、隙をついて突進してくる相棒と火花を散らせながら格闘する。その二人のスタイルの対比が、本当に面白い。
ドラムと、金管楽器と、バトンなどのビジュアルアンサンブル。これらがひとつになった時の一体感は、バンドの演奏を聴くのとはまた違う、興奮というか、感動が得られるように思う。他のもので形容することができない、唯一無二のエンターテイメントだと思う。
数年前は、2日連続で行くほどだったのに、今年の夏は、タイミングがあわず観に行けなかった。いや、タイミングがあわず、というのは言い訳だ。デートで誘った女の子にその後振られるという、できることなら思い出したくない負の思い出もあって、今年は少し距離を置いていたのかもしれない。女の子の心を射止めるという、本来自分が努力してすべきことを、彼らの超絶パフォーマンスに委ねてしまった自分が悪いのだ。