松陰神社前散歩

コンサルをしている管理組合の総会で弦巻に行ったあと、せっかくだからと、世田谷線に乗って上町から松陰神社前へ。法務局へ行くときに歩く駅前の商店街は、賑やかで、かつアットホームな雰囲気が漂っている。気になってはいたものの、謄本を取りにいかなければ、と頭が仕事モードの時に歩くことがほとんどだったため、ゆっくりと歩いてまわる機会がなかった。今日、一軒の喫茶店を目指して、散歩しようと思った。きっかけは、「東京カフェ散歩」という本の「日常編 10章 三軒茶屋から世田谷線に乗って」だった。

 

東京カフェ散歩 観光と日常 (祥伝社黄金文庫)

東京カフェ散歩 観光と日常 (祥伝社黄金文庫)

 

 

松陰神社前の商店街にいくつか小ぢんまりした雰囲気の良さそうな喫茶店があり、その中で特に「カフェロッタ」が気になった。「お店への愛情を綴った小さな置き手紙を、テーブルにそっと残していくお客さまも少なくないそうだ」 だって。うん、素敵すぎる。そんなお店を知って、そんなお店に置き手紙をそっと残して愛情を表現できる男になりたいと思い、趣のある木扉を開いた。あまりの小ささに、びっくりした。すぐ満席になって人が入れなくなるのが気になって、とてもじゃないけどちょっと長居なんてできそうにない。

 

角にあるテーブル(机といった方が近そう)と椅子。座り心地が抜群に良い。腹の部分に引き出しがあり、つい開けてしまいたくなる。無垢の木のやわらかさと、白湯のあたたかさと、でっかいスコーンの甘さが、日常を忘れさせてくれる。

 

本にも写真で出ていた店主のまた優しそうなこと。ご近所さんから親しまれているというのが、一発で分かるような優しさを感じた。

 

うっかり長居、はできそうにないけれど、ちょっと異空間に行きたいとき、ひとり孤独を味わいたいとき(といいながら実は周囲を完全に遮断しているわけではないのだけれど)、また行きたい。

 

 

ガラ声のおじさんが大声で叫ぶ昔ながらの八百屋。ポルトガルの手仕事を紹介するギャラリー。モダンな店構えが印象的な煎餅屋。並んでいる本や音楽が放つ刺激があまりにも強すぎて、何も買わずに店を出るのにものすごい罪悪感を感じてしまう小さな古本屋。古い建物がひしめきあうなかでぽっかりと現れる更地・・・。いつも仕事でしか通らない街の、いままで知らなかった面白さに触れた。