午前0時の忘れもの

美容院のマスターにすすめられたのがきっかけで、手に取った。初めてのファンタジーだった。それまでファンタジーという分野そのものを意識していなかったから、新鮮な気持ちで読むことができた。

 

不思議なことが、まるで当たり前のようにさらっと起きる。サラサラと話が進んでいく、その流れに乗るのが心地よい。昨日読み始めて、今日読了。自分にとってはびっくりする速さだ。

 

愛する人を待つ登場人物、特に女性が、強くてかっこよかった。素人を危険から守ろうとするヤクザの親分を想う恵。同じ名前のライバルを立てようとする沙由利。そして、久しぶりに再会した幼馴染に命の大切さを伝える法子。その法子をそっと見守るルミ。

 

びっくりするようなことがさりげなく起きる不思議な世界を通して、人を愛すること、人から愛されることの、尊さというと大げさだけれど、そんなようなものを発見したような気がした。20年以上前の話なのだと最後に知ってびっくり。時間が経っても尊いものって変わらないんだと思った。ありがとう、マスター。

 

午前0時の忘れもの (集英社文庫)

午前0時の忘れもの (集英社文庫)