七人の・・・

1月29日。日曜日。



今週は演劇三昧の土日だった。昨日見た舞台「拡散していく、彼女」をきっかけに知った口コミサイト「CoRich」をフラフラ眺めてると、気になる名前の発見した。「七人の武将」なにげないタイトルといえばなにげないけれど、なぜだかぼくの琴線に触れるタイトルだった。古くは「七人の侍」。アメリカは「荒野の七人」。フランスは「七人のYAMAKASI」。そして相棒は「七人の容疑者」(http://d.hatena.ne.jp/bibbidi-bobbidi-do/20090620/1245513813)。七人と名のつく作品が多々出ており、七人という人数に何か魅力的な要素があるのではないかと感じてしまう。多すぎず少なすぎず、メンバーそれぞれの個性が一番出せる人数なのか?中心人物がいてそのまわりに左右対称に並べる、奇数でちょうどいい人数なのか?その謎を解明すべく、昨日の興奮さめやまぬまま、半ば勢いで今日は南阿佐ヶ谷へ行ってきた。



最初に姉妹編「七人の撫子」があり、そして「七人の武将」という2部構成。ストーリーを読むと・・・
「舞台はとある歴史の教科書の中。七人の超有名歴史人物が集結した。『平成二十四年度 日本史B ページ振り分け会議』を行うために。偉人たちによるページ数を懸けた壮絶な“戦”が始まる…!!」
・・・意味わかんねぇ。その突拍子のなさがきっといいところなのだろう。やはり敷居の低さが漂うビルの地下、当日券を買って入ると、まるで防空壕のような空間に舞台があった。うん、だんだん慣れてきたぞ、こういう感じ。



時間になり、BGMが消え、久々に聞いたシャ乱Qの「シングルベッド」が流れる。サビのいいところで暗転し、明かりが点いた次の瞬間、「こういう感じか!!」と一発でぼくをビビらせる、演者のマイクなしの大声が響き渡る。すごい迫力だったね。



紫式部、卑弥呼、北条政子滝沢馬琴の娘・お路、秀吉の正室・ねね、蘇我馬子、そして坂本竜馬。「なんでやねん!」と思わずツッコミを入れたくなるくらい、時代がぐちゃまぜになって偉人たちが同じ会議室に座っている。そして、日本史Bの教科書のページ振り分けを巡って、議論を始める。ハチャメチャな内容だったけれど、歴史の内容をふんだんに盛り込んでいて、そのなかに冗談も入っていて、考えさせられる内容だった。それこそ昨日の話じゃないけれど、KYな人の勇気ある発言が歴史を(というか会議の結論を)変えてしまう、というところに、日本特有の同調思考に対する反論を感じた。



続く「七人の武将」。セットは撫子とまったく一緒。話の流れもほぼ一緒。ZONEの「Secret Base きみがくれたもの」が流れて暗転。サビが終わって明るくなり、現れたのは土方歳三。そしてその会議室にやってくるのが聖徳太子、織田信長、源義経足利尊氏大石良雄大石内蔵助)、そして陰陽師安倍晴明。またもや「なんで一緒にいるねん!!」てツッコミをいれたくなるメンツ。しかも、日本史Bの教科書のページ配分を巡った議論の中で安倍晴明が突如「千の風になって」を歌ったりと、もうメチャクチャ。それでも、歴史上の事実を伝える中で、音楽あり、パフォーマンスありで、なかなか興奮した。大石内蔵助の役者さん、女性だったんだけど、美人だったなぁ・・・



そんなこんなで、いままでこういう舞台を観ていなかったぼくにとって、まるで初めてロックのコンサートに行った中学生のように衝撃を受けた。こういう、知人関係や一部の口コミサイトで知った人などが観ることによって感動や興奮が伝染する芸術。たぶんぼくの想像を絶する、ぼくなんか足元にも及ばないくらい血のにじむ努力をしているのだろう。その証拠にあれだけ長い台詞をほとんど噛まずにしゃべったんだから。それはプロとして当たり前だというだろうけれど、それがプロとして当たり前だとしたら、ぼくなんかプロでもなんでもないな、と凹んでしまう。彼らの表現を観ながら、自分も自分なりのプロを目指そうと思う。