個人携帯への着信

蒸しますねぇ。まだ7月だというのに。ぼくは「暑い」と口に出して言うのが嫌いだ。口に出した途端さらに暑くなるように感じるからだ。「思ったことは叶う」ステキな言葉だけど、本当だと思う。本当にやりたいことが思っただけで即叶うとは思えないけど、「暑い」と言ったとたんに暑くなるんだから不思議だ。だからあえて「暑い」と言わずに「蒸しますねぇ」なんて軽く言うように心がけている。自分の中で、「あつい」と言ったら魂を抜かれてしまう「幽遊白書」の蔵馬VS海藤のテリトリーをつくりあげてかれこれ何年経つのだろう。しかしここ最近はそんな心がけも通用せず、本当に魂が抜かれてしまうんじゃないかと不安になるくらい暑・・・蒸しますねぇ。


①先月まで定期購読していた読売新聞の代金の引き落とし日について聞きたかったので、昨日電話をした。


ぼく「今月は23日が土曜日なんですけど、その場合は翌月曜日になるんですよね?」

相手「はい、たぶんそうだと思いますが。すみません、確認しますので折り返しでいいですか?」

「あぁ、はい、別に急ぎじゃないんで、いいですよ」

「少し返事にお時間を頂戴するかもしれませんが、よろしいでしょうか?」

「あぁ、はい、別に急ぎじゃないんで、いいですよ」



そして電話をいったん切る。昼過ぎに電話したその「折り返し」は、結局その日にかかってこなかった。その翌日である今日、ツタヤで立ち読みをしていたら、電話が来た。引き落とし日を調べるのにどんだけ時間がかかってんだよ、と思いながら出る。


相手「もしもし。あ、お世話んなりや〜す、○○です」

ぼく「はい??」

「ですから、○○でぇす、読売新聞の」

「あぁ、はいはい」

「ご無沙汰してまぁす。どうしたんスかぁ?最近、全然お会いできないんでぇ」

「(コイツ、だれか別の人と勘違いしてんじゃねぇか?)え?あぁ、はいはい、スンマセン」

「お忙しそうでぇ・・・聞きましたよぉ。彼女ができたんですってぇ?」
「ハァ???」
「いやぁ、噂で聞きましたよぉ。沖縄の人なんですってぇ??」

「ハァ???(誰と勘違いしてんだよ。てかどこ情報だよ)いや、そんなことありませんけど」

「そうすかぁ?じゃぁ嘘情報ですねぇ。スンマセン。で、電話いただいていた引き落とし日の件ですが、また改めてご連絡いたしますので、よろしくお願いいたしまぁす」

「ハァ!!!???」


ガチャ。



結局結論の出ない意味不明な電話に、吹き出しそうになった。たぶん昨日電話をして用件を伝えた相手が、いま電話をしてきた男に用件を伝えた際、いまの男はぼくを別の男と勘違いしたのだろう。そしてぼくが昨日電話をして用件を伝えた内容を、いまの男が別の内容と勘違いしたのだろう。昨日電話をして用件を伝えた男と、いま電話をかけてきた男。この二人がそれぞれ意味不明であったことに若干腹を立てながら、ふと思った。おそらく勘違い電話であるいまの男の話に乗っかったぼくも同罪じゃないかと。きっといま電話をかけてきた男は、なにかの拍子に勘違いだったと気付いた時、ゾッとするに違いない。そんな場面を密かに想像してニヤッとしたぼくは何罪?



②平日に、市川ナンバーから個人携帯に着信があった。普段仕事中、会社携帯での発着信がほとんどで、個人携帯への着信がほとんどないため、見落とすことが多い。残された留守電を確認。


相手「もしもし、クロックハウスコルトンプラザ店の○○ですが、またお電話致します。失礼いたします」


先日、充電ができなくなって修理に出していた腕時計の件だと気づき、土曜日にこちらから電話する。


ぼく「先日腕時計の修理をお願いしたものですが、電話をもらってまして」

相手「はい、いま確認しますので、少々お待ちください。『♪♪♪〜(保留音)』お待たせいたしました。ご依頼いただいておりました修理ですが、代金は3150円になります」

「(思ったより高くなく、ひとまず安堵)あぁ、そうですか。」

「それでですね、その修理なのですが、メーカーの方が夏休みがございますので・・・」

「(えぇ?夏休みって、まだ3週間くらい後のことじゃないか?)はい」

二次電池(?)の交換と、ベルトの締め付けで、1か月から1か月半ほどかかるかと思われまして・・・」

「ハァ??」

「申し訳ありません、メーカーの方も、夏休みに入ってしまうものですから」

「・・・そうですか。まぁいいです。分かりました。お願いします」


二次電池なるものがいかなるものかは分からないけど、そんなに時間はかかんないだろ、なんてツッコミを入れたくなった。大学の時に買ったからかれこれ8年くらい使ってたことになり、もう販売していない旧式の腕時計だから、向こうもびっくりしただろうけど、それにしても時間がかかりすぎる。


なかなか思うように結論がでないなぁ、と思いながら、さて自分の仕事について考えたとき、はたしてぼくは客への対応を迅速にしているだろうか、と不安になった。自分が対応する立場だと、やれ「忙しかった」とか「急な他の対応があって」とか「他部署の対応が遅くて」とか、無限に言い訳ができそうな気がする。でも、そんな言い訳となるようなことも、客からは全然見えない。全部ぼくが遅いとしか感じられないだろう。となると、ぼくも実は対応が遅いと客にイライラされている可能性がある。気を付けよう。


それにしても、個人携帯への知らない番号からの着信には、ろくなものがない。