美容院での会話

1月23日。日曜日。


美容院へ。


何度か日記で登場している行きつけの美容院は、ぼくが社会人になって最初の2年間住んでいたマンションの1階にある。


ここは、地域コミュニティがほぼ皆無なぼくにとっての、唯一ともいえる地域コミュニティ。


平日、否が応でも人と会う営業職という仕事柄、その反動で土日は別に誰とも会わず籠っててもいいかな、と思うここ最近。


土曜日にじっと家に籠っていると、日曜日に美容院に行って他愛もない話をして、髪も心もリフレッシュするのが、楽しみになってくる。


そんなにうっとうしいと思うほど髪がのびてるわけでもないのに、「そろそろ行こうかな」なんて思うようになってくる。


「美容院に行って髪を切る」という、人間だれもがするなんでもない行為の中にこうして楽しみを見出しているあたり、なかなか楽観主義者だな・・・


そんな美容院での会話。







いつもニコニコ、すてきなマスター「正月、実家帰りました??」


ぼく「帰りました。ただ今年は三が日までしか休めなかったんで、ちょっと短い感じがしましたね」


「そうすかぁ・・・で、最近ラーメン食べてます?(おなじみのラーメン談義)」


「食べてますよぉ」


「『むげん』行ってます?」


「行ってます。あそこはご褒美用」


「実家のほうにはおいしいラーメン屋とかないんすか?」


「ないっすねぇ・・・まず田舎だからなぁ・・・」


「あ、そういえば、南行徳と浦安の間くらいに新しいラーメン屋できましたよ。行きました?」


「あ、そうなんすか?行ってない」


「あそこは駐車場も完備だし、いいすよ」


「へぇ、バイパス沿いで駐車場がちゃんとあるのはここらへんでは『田所商店』しかないですよね」


「そうだね。ぼくは2回行きましたよ。細麺でね、麺はそれほどじゃないんだけど、スープはうまかったっすよ」


「へぇ、いいなぁ、じゃぁ今度行ってみますわ(新規情報入手)」





ぼくより年下、でもあなどれない(エステティシャンの資格あり)かわいい女の子、Iちゃん「どうもぉ〜」


「あ、この間さ、夜、妙典駅で会いませんでした?おれ、もしかしてIちゃんかなぁって思ったんだけど」


「そうそう!!会いましたよぉ〜♪でもなんか音楽かなんか聴いてて気づかなかったのかなぁなんて思ってそのままだったんですけど」


「気づいた。でも俺ももしかしたら違うかなぁなんて思って無視しちゃった。ゴメンね。てか、あの時間に帰るってことは、ずいぶん夜遅くまで仕事やってるよね」


「そうですねぇ、だいたいお客さんの受付が20時までで、そのあと練習してあれくらいの時間になりますねぇ」


「すごいね、サラリーマン並みじゃね??」


「今日とか、どっか行くんですかぁ??」


「いや、ここ最近、休日は別にわざわざ外出しなくても、家でのんびりしててもいいかなって思ってるから、特にどこへも行かない」


「そう思います!!でも、安藤さんって、なんかアウトドアなイメージがあるんですけど。車でいろんなところへ行くイメージがあるんですけど」


「えっそうなの?おれすっげぇインドアだよ・・・」


「そうなんですかぁ?」


「Iちゃんカラオケとか行くの?あそこの市川のラウンドワンとか行くの?」


「行きますよぉ♪」


「そうなんだ、おれ、あそこはまだ行ったことないんだよな。Iちゃん、一人カラオケとかできる?」


「あぁ〜一人カラオケは・・・一回やろうと思って、やめました」


「『虚しくなる』って思ったんだ?おれも一人カラオケはできないなぁ・・・」


「どんな歌うたうんですか?AKBとか?」


「いやぁ・・・AKBはないだろぉ・・・。おれはやっぱ好きなロックバンドとかいるから、そういうのかな。ルナシーとか、イエモンとか」


「あっルナシー好きなんですかぁ〜」


「(ここで瞬間的に、ルナシーの話題ができることを察知する)そう、こないだ復活したからね。応援しますよ」


「年末、もしかしてライブ行ったんですかぁ?」


「(キタこの話題、とばかり興奮気味に語る)行った行った!!東京ドーム行ってきたよ。もうね、シビレタねぇあれは」


「いいなぁ・・・あたし、ドラムのひとがバックバンドをやってるライブは見に行ったことありますよ」


「そうなの、なんていうバンド??」


「『Acid Black Cherry』っていうんですけどぉ」


「あぁ知ってる知ってる。へぇ、真矢そのバンドでドラム叩いてたんだ、知らなかった(新規情報入手)」


「でも行ってみたいなぁ・・・」


「まじで?じゃぁおれあんまり周りにルナシーの話題が通じる友達がいなくてつまんないからさ、今度ルナシーいつライブやるかわかんないけど、タイミングあったら行こうよ!!(デート勧誘)」






なわけで、こんな他愛もない会話から今日も新規情報を仕入れております。


そんなささいな情報源であるこの美容院は、冒頭に述べた理由で、ぼくにとって特別な美容院。


なんせ人生初の一人暮らしを支えてくれた場所だから。


今年もヨロシクお願いします。