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「ラットマン」 道尾秀介 光文社文庫
結成１４年のアマチュアロックバンドのギタリスト・姫川は、幼いころに小学生の姉を事故で亡くすという過去をもっていた。しかしその過去の真相が、ふとしたきっかけで呼び戻される。
スタジオで練習中、元バンドのメンバーだったひかりがアンプの下敷きになって死亡した。一見事故だと思われたが、現場の不自然な状況から、バンドのメンバーは違和感を覚える。
そしてその事故の真相が明らかになったとき、姫川が抱えていた過去の真相も明らかになる。
今旬な作家（らしい）著者によるミステリー小説。
そのタイトルとストーリーとのギャップによる好奇心から、購入。
丸二日で読了。
一気に読めた。
世界に惹きこまれた。
最後の最後で、タイトルの「ラットマン」が意味することがようやくわかって納得。
同じ光景でも、それを見る人によって（そのときの背景によって）とらえ方が違う。
そのことをラットマンの絵をつかって象徴的に示しています。
結局のところ、平たく言えば「勘違い殺人」みたいなことか。
「ＡさんはＢさんの死をＣさんによる殺人だと思い込んだ」
「ＣさんはＢさんの死をＡさんによる殺人だと思い込んだ」
この二文が矛盾しない妙。
それが姫川の過去の出来事とリンクしている（というか姫川がリンクさせた）点がすごい。
トータル、何回どんでん返しがあっただろう。
何度もどんでん返って360度回転してもとに戻ったような、まさにジェットコースターに乗ったような感覚を味わった。
「一生懸命に真似をすれば、その人の本当にやりたかったことがわかる」
「個性ってのはさ、何かを一生懸命に真似しないと、手に入れることなんて絶対にできないんだよ」
なにげに興味深い格言も満載。
