青い鳥

 

青い鳥 (新潮文庫)

青い鳥 (新潮文庫)

 

 

雑誌「BRUTUS」の読書特集で紹介されていたのを読んで、手にとってみた。「プロ論」をとおして作家さんのことは知っていたが、作品を読むのは初めてだ。吃音症の村内先生が、「本当に大切なもの」を教えてくれるとあるが、どういうことなのだろう、と期待しながら、読んだ。

 

寄り添ってくれるだけでいい。そばにいてくれるだけでいい。そういう人が近くにいるということが、どれだけ救いになることだろう。そういう人が身近にいる人は、たとえ境遇が悪かろうと、幸せなのだろうな、と思った。自分にとってのそういう人は・・・と想いをめぐらすきっかけにもなった。

 

こうして生徒の心をしっかり掴んで、味方でいてくれる先生が、実際にはどれだけいるだろう。自分の中学高校時代を振り返ってみると・・・当時は、そんな内面の部分までケアしてもらうことを、先生に望んではいなかったように思う。自分以外のたくさんの生徒を抱えている先生が、自分ひとりの心の中にまで関与してくれるはずがない、と考えていたように思う。当時、もっと先生に対して素直になっていたら・・・「カッコウの卵」の主人公のように、卒業後も先生を慕うような心をもてたのかもしれない。