4月に入ってから、途絶えていた日課のジョギングを再開した。平日は、朝起きたらすぐ軽くストレッチをし、家を出て、近所の道を1周する。週末、何も予定のない休日は、川沿いまで歩き、少し長めの距離を走る。毎日とまではいかないけれど、再開して一週間ほど経ち、だいたい一日置きのジョギングを繰り返した。
今日は一日オフだったので、午前中、少し張り切って家を出て、走った。ちょうどいい天気。障害物のない空間で浴びる風が気持ち良い。信号のない川沿いの道を、息を乱しながら走った。
川の向こうを見ると、高いコンクリートの煙突が天まで延びている。のちにグーグルマップを見て、それが清掃工場の煙突であると知った。ずいぶん高いつるつるの煙突を眺めながらふと、昔読んだ漫画を思い出した。大好きだった(もちろん今も)格闘マンガ「バキ」に登場する最凶死刑囚、シコルスキーだ。
シコルスキーは垂直の壁の表面にある傷やサビを手掛かりに、まるでボルダリングのように登ってしまう。体のどこにわずかな傷に差し込む部位があるのか、とか、全体重を掛けてもサビが剥がれないなんてあるわけないだろう、とか、様々なツッコミができそうだけれど、そこはまあ漫画の話。とはいえ、すさまじい描写を見せつけられると、そんなことができたらいいなあと憧れさえ抱く。高い煙突を見ると、すいすいと登ってしまうシコルスキーがどうしても頭に思い浮かぶようになってしまった。
とりあえず、川を垂直に見た時の正面に煙突が来るポイントまで走ろう。そうしたら折り返そう。これ以上頑張ったら苦しさが身に染みて、明日以降の日課に支障がでる。そう目的地を決めて、息を切らせながら走った。煙突の表面を垂直に登るシコルスキーと比べたら、目的地点の目印としか捉えていない自分なんて取るに足りない存在だ。ただ、こうしてジョギングを日々繰り返して、これを1年2年3年と続けたら、体も軽くなり、疲れにくくもなり、仕事に集中する力も、逆境に耐える忍耐力もつくかもしれない。なにより気分が晴れて、余計なストレスを吹き飛ばし、快適な毎日をつくりだせるかもしれない。よもや最凶死刑囚に勝とうなどとは思っていないけれど、こんなちっぽけな自分がシコルスキーのような強さを身につけるためには、自分なりの方法で日々、やると決めたことをやるしかない。