和菓子屋さんの赤飯

仕事終わり、帰宅前にちょっと寄り道をして、近所の和菓子屋さんに向かった。三連休のうち二日間、委託の仕事を詰め込んで終わらせた、その後のちょっとしたごほうびに。

 

この和菓子屋さんには美味しい赤飯があって、だからとても信頼している(私には、赤飯を扱っている和菓子屋さんは一段階アップで信用する、というおかしな偏見がある。扱っていない和菓子屋さんを疑うという意味ではない)。ただ、確か毎日炊いているのではなかった気がするし、夕方に行っても売り切れ、という可能性が高かった。なければ、まぁがっかりではあるけれど、また次の機会のお楽しみということで、どら焼きを買って帰ればよい。恐る恐る店に入ったら、何パックか残っていた。ラッキーだった。「よかった、赤飯があって」入った瞬間の私の安堵の顔を、お店のおばちゃんにたぶん見られた。赤飯目当て(もしかしたら珍しいのかもしれない)の兄ちゃん、とインプットされた可能性はある。

 

「急に涼しくなってきましたね」会計待ちの時におばちゃんに雑談を振られ、あわてて「そうですね」とだけ返事する。「ときどき寒いくらいですよね」と気の利いた一言くらい付け加えられなかっただろうか、と悔やまれる。和菓子屋さんは季節の変化に敏感だ。これが和菓子屋さんに対して抱く私の偏見のもう一つ。その感度は、扱う商品にも色濃く反映されている。どら焼きを手に取ろうにも、「普通のどら焼き」と「塩どら焼き」に「栗どら焼き」が加わっているので選択肢は三つ。どら焼きひとつ選ぶのにも、悩ましさがつきまとう。栗ですよね。もう10月ですものね。

 

お目当ての赤飯と、結局普通のどら焼きと塩どら焼きを買い、ほくほくの気分で帰宅した。これくらいのことでごほうびを得た気持ちになるのだから、自分をなだめるのなんて大したことない。仕事がうまくいかなくて自棄になったとき。自分のふがいなさにめまいが止まらないとき。そういう時に立ち寄る場所のひとつに、この和菓子屋さんがある。