手づくり市という幸福

数年前、自分でもどうかと思うくらいハマっていたものに、手づくり市巡りというものがあった。当時住んでいたアパートのすぐ近くで大家さんが企画していて、そこへ顔を出したのがきっかけだった。そこで、のちに壁面本棚をつくってくれた家具屋さんに出会い、自宅でも職場でもないいわゆる第三の居場所(サードプレイス)となるカフェの店主にも出会った。今の自分の財産をもたらしてくれたと言っても過言ではない。

 

nikom.jp

 

www.caffenil.com

 

そこで出会ったバンダナ屋さんのバンダナを今、合計10枚もっている。6年前に出会ってから、いろいろな場所で、もしくはオンラインで、ちびちびと買っては、毎日ポケットに入れて生活している。そのうち1枚は大きく破れ、1枚は柄が薄くなったので、その2枚は台所用ふきんに転用。残りの8枚を毎日ローテーションで使っている。朝、さて今日はどの柄にしようか、と悩む10秒やそこらの時間が、意外と幸福であったりする。首にかけたり頭に巻いたり、といった本来の使い方を全くせず、完全にハンカチとして使っている点では、邪道なのかもしれないけれど、リネンの手触りや柄の美しさが好きで、重宝している。

 

https://www.instagram.com/bandaiya50/

 

時間が経って、ここ最近は休日に手づくり市へ行くことも少なくなった。自営業での出張が増え時間がとれなくなったという現実的な理由もあるけれど、一定数、手づくの雑貨が自宅に招き入れられ、精神的にも物質的にも多少豊かになり、さらに買い足し続けるのもどうかなあと迷う時期に来たという理由もある。例えば木塑ブローチひとつとっても、新しいものを一つ買うと、いますでに持っているものへの愛着がほんの少しでも薄れてしまう、という罪悪感のようなものを感じる。気にしすぎだろうという自覚はある。しかし、「もしかしたらこう思うのは少数派なのかもしれない」という違和感を抱きながらもその直感に従う素直さも、一方では大事だと思っている。

 

ここ最近、仕事に少しばかり精神的な余裕をもてるようになってきた。また、ふらっと手づくり市に顔を出し、作家さんとコミュニケーションをとりながら、良い暮らしとはどういうものなのかを考えていきたい。