数年前に久しぶりに会った大学時代の同級生に、今日も偶然街で会った。
普段行かない場所で仕事があったその帰り道、賑やかだからと避けていた道を、たまには楽しそうだと思い、歩いていた。人気のカフェや新しくオープンしたドーナツ屋などを横目で見ながら歩いていると、ビルの隙間にある喫煙所スペースでタバコを吸っている人と目が合った。その瞬間、頬の筋肉が緩み、足が止まった。
「おお!」だいぶ久しぶりに会ったはずなのに、お互い驚いたというよりは、偶然の出来事を喜び合った。聞くと、彼はつい昨日、仕事上の大きな決断をしたばかりだという。彼が一服している数分の間の立ち話だったけれど、それぞれの近況を報告し、1週間後にゆっくり食事をしようと約束した。
考えてみると、大学時代の同級生で今も付き合っている友人などほとんどいない。新卒で入社した会社の同期でさえ、いま全く会っていない。そんななかで、不思議とこの街でばったり会い、喜び合う唯一の友人が、彼だ。社会人になりたての頃は結構仲が良くて割と頻繁に会っていたのに、急に音信不通になり数年間音沙汰がなかった、なんてことをふと思い出した。
偶然の組み合わせは、いつなんどき起こるか全く想像できない。それがまた面白い。