日曜日。家でずっとTVerを観て過ごしていた。相棒の新シーズンが始まる期待を胸に、前シーズンの観ていないストーリーを追うように観た。テレビのない生活をするようになって以来、リアルタイムではなく、後追いという別の形にはなったけれど、右京と薫が織りなす手に汗握る物語から、観始めてから20年近く経つ今も目が離せないでいる。
シーズン22 第8話「センチメンタル・ジャーニー」
右京が弘前行のバスに乗り、隣に座る老婦人に話しかける。そのうちに、尾上絹と名乗るその老婦人の犯歴を右京が探っていることが分かる。一方、別行動の薫は倉庫でナンバープレートの外されている車を発見する。
実は右京と薫は昼間、尾上絹と一緒に歩いていた若い女性が拉致される現場を目撃していた。老婦人に見覚えがあった右京は違和感を感じ、彼女を追ってバスに乗っていたのだった。尾上絹は一体どこへ、何をしに行こうとしているのか。
「ついてない女」を連想させるバス内での攻防戦はスリル満点。何十年も会っていなかった孫を名乗る女性が現れるも、実はそれが詐欺グループの一味であったということには、薫同様怒りを覚えた。そして、詐欺に手を染めざるを得なかった老婦人の想いに、心が痛んだ。あの頃のような惨めな思いはしたくない、という気持ちは通常、前へ進もうとする動機になるのだろうけれど、同時に、横道に逸れる充分な動機にもなり得る。