本屋さんとして、何か他者と差別化できるような面白い企画はできないだろうか。そんな疑問とたたかう中で今日、クライアントからアイデアの種のようなものを受け取れた気がした。
学芸大学駅近くにタイポグラフィ関連専門書店があって、その周辺の勉強を今しているのだ、という彼にその書店を紹介したのが2か月前。そうしたら先月、「行ってきました」と早速教えてくれた。高い本ばっかりだったでしょ、と聞いたら、でもまぁ専門書はそれくらいしますから、と飄々と言う。専門書は確かに高い。しかしその分、得るものも大きい。万人が買うようなものじゃないかもしれないけれど、必要な人は必ずいる。そういう世界だ。
こうした「限られたジャンルの専門書店」って、少ないかもしれないけれど、それを必要とする人が一定数いる。そういう人から「関連本は●●に聞けば大丈夫」と信頼されるような仕入れができたら良いですね、と言われ、ドキッとした。そうか、今まではより多くの人に興味を持ってもらえそうな本を中心にセレクトしていたけれど、何かテーマを決めて、それに関する本を中心にセレクトするというのも面白い。中途半端だと心に残らないから、より深く。その結果、信頼してもらえたらこっちのもの。そういう選書方法も考えていかなければ、と思った。
例えば私だったら、建築という前職の知識、経験を生かせる。住まいづくりに関する本を中心に仕入れて、今まさに住まいづくりを検討している方、そこまで考えていないまでも興味がある方、趣味レベルで住宅のインテリア写真を眺めているだけで楽しい、という方に向けて本を紹介することができるだろう。
一貫性と深さがあれば、本当は前職にこだわらなくても良い。テーマを決めて、関連本を研究し、仕入れて、その良さを発信していく。そうすれば本屋としての視界が広がるのではないか。そう感じた。