流鉄

 

馬橋駅でJRの改札を出て、流鉄流山線に乗り換える。スイカが使えないので、券売機で切符を買った。電車移動時にアナログ感を思い出させてくれるのは、いまはもう流鉄くらいしかない。

 

本を詰めたキャリーケースを持ち上げながら、階段を降りる。ほんの少し異空間に足を踏み込んだような気持ちだ。買った切符を窓口にかざしながらホームに入る。先に電車を待っていた人は数人。本当に、のどかだ。

 

黄色の車両と赤の車両の2両編成。今日はオムライス号だ。小金城趾駅でやってきた対向車両の正面と背面にはオムライスのイラストが描かれたエンブレムが。オムライスのような温かさを鉄道会社に感じる瞬間。電車は結構揺れるけれど、その温かさ、ホスピタリティは揺るぎない。

 

仕事で、流山駅前で本を売る縁に恵まれた。この縁がなかったら、きっと流鉄流山線に乗る機会がないままだったかもしれない。そう思うとなんだかありがたくて、10分以上の電車の感覚にも、イライラしないで済む。普段の過密ダイヤに慣れている自分の方が異常なのだ。