3週間の間、場所を借りて本屋をやることができた。流鉄流山駅隣の観光案内所兼コミュニティスペース「machimin」で、期間限定の本屋プロジェクトを行った。観光でふらっと立ち寄った方、SNSを見て興味を持って来てくださった方、家族友人知人、さまざまな立場の方が寄ってくれて、楽しい空間になった。
特に面白いと思ったのは、初めて会った人同士がその場で意気投合し、時間を忘れてしゃべりあっていたこと。それができるのがコミュニティスペースならではだと思った。その居心地の良さに、自分がセレクトした本や、一緒に空間をつくりませんかと誘ったコーヒースタンドのコーヒーが貢献しているのだとしたら、これほど嬉しいことはない。
一つ、大きな教訓を得ることができた。それは、「本屋としての私の特徴はこれだ」という強い主張が必ずしも要るわけではないということ。本屋、花屋、雑貨屋、コーヒー屋、ワークショップ。さまざまな参加者が表現する日があって、それぞれ来る客層が異なり、空間の印象も違った。「machiminって、結局何がやりたいんだろう」と、複数日足を運ぶとそう思う人もいるかもしれない。けれど私は、machiminはその「芯のなさ」「つかみどころのなさ」のようなものを大切にしているように感じた。だからそれは、本屋としての自分のスタンスにも当てはめることができると思った。「こういう本屋です」という強い主張は、その主張に共感する方を呼ぶことができる一方、「自分のことはお呼びでないようだ」と思う人を遠ざけることにもなる。誰にでも八方美人で良くふるまう、と言うことでは決してないが、さまざまな価値観の人が興味を持ってもらえるような、そんな懐の大きい本屋でありたいと思った。