スーツケース

去年、引越の機会にスーツケースを処分していたことに気づいた。ほとんど使うことがないと判断したのだろう。その判断は半分正解で、半分外れている。確かに泊りがけの旅行に行く予定はいまのところない。使いもしない大きなスーツケースをずっと置いておくスペースもない。ただそこに誤算があった。本を扱う仕事をするようになり、出張本屋をやる時にはたくさんの本を運ぶ必要がある。その時に手持ちのトートバッグ等ではどうしても限界があるのだ。スーツケースを必要とするのは何も旅行の時だけではない。大量の本を持ち運ぶ可能性に、気づくべきだった。

 

スーツケースを買おうとショッピングサイトを漁るようになるなんて、想像していなかった。探し始めると、大容量のもの、フォルムがカッコいいものなど、たくさんあって選ぶのが大変だ。その選ぶ時間が楽しく感じる一方、これだ!というものが見つかるまでは、まるで任務が完了しない状態が続くようなモヤモヤ感がつきまとう。そのモヤモヤ感は、買い終わらない限り消えない。