昼間、渋谷で電車を降りて昼ご飯を食べようと宮益坂を歩いた。次の電車に乗るまでの時間にそれほど余裕がない。サクッと食べられるのが良いなぁ、でもそんなのなさそうだなぁ、これじゃあ歩くだけ歩いて結局食べられず、電車に乗るようかなぁ、なんて思っていると、ちょうどよい感じのカレー屋があった。ここしかないと思い、入った。
店内で流れていたのはLUNA SEAの「TRUE BLUE」。有線なのだろう。その次に流れてきたのが懐かしいTUBEの曲だったから、選曲基準は分からないけれど、店に入ったタイミングが良かった。昨日はLUNA SEAの32歳の誕生日。今日までの3日間、有明でライブを行っている。彼らのカッコよさを今でも感じられる幸運をかみしめながら、大盛りのほうれん草カレーを胃に流しこむ。思いのほか辛くて、美味しかった。
好きな食べ物はカレーです、と堂々と言うほどではないし、どこのカレーがこれこれこうで、ここはいまいちで、と講釈するつもりもないけれど、カレーを食べて旨かったと満足することはあっても、後悔したことは記憶の限り、ない。つまりは、カレーが大好きだ。特別好きだというのもはばかられるくらい、普段の食生活に当たり前のように現れては、食べる。特別感をあまり感じないという点で、同じく大好きであるラーメンと、ちょっと異なる。ラーメンは、大好きなものを美味しく食べるぞと意気込んで食べるけれど、カレーは意気込まずに食べる。なんとなく、そんな感じだ。
カレーはすぐにやってきて、サクッと食べることができたから、次の電車に難なく乗ることができた。ホームでLUNA SEAのグッズを身に着けた女性とすれ違う。彼女は颯爽と、有明方面行きの埼京線に乗り込んだ。そうか、これからライブなのだ。このコロナ禍でも音楽を、文化の火を消すまいとしている人がいる。存分に楽しんでくれと祈り、自分は逆方向行きの高崎線に乗った。
今日初めて行った本屋で出会い、手にした本は、カレーにまつわるアンソロジー。紙までカレー色だ。文字を読む前から頭にカレーが浮かび、口の中に香辛料の味が広がる。カレー一色の本という潔さに脱帽した。まだ読んでないのに、カレーに対する愛が詰め込まれているのだと分かる。
久しぶりに割と長い時間電車に乗った。暑くもあり、帰宅したときにはヘトヘトになっていたけれど、まだイベントがある。パソコンを開き、LUNA SEAのライブを配信で観た。興奮を、明日への活力へと変換していく。大好きな「LUCA」も「静寂」も聴けた。第2部一発目の「JESUS」に痺れた。「TRUE BLUE」も聴けた。昼間のカレー屋で流れていたのは、この予告だったのか、と勝手に感動した。
晩御飯にはカレーうどんを食べた。昼に食べたから晩に食べるのはやめよう、とはならないのがカレーのすごいところだ。米とうどんとで違うのだからむしろ新鮮な気持ちで食べられる。