誕生日の記憶

家族の誕生日を1週間間違えた。何月何日生まれ、と正確に頭には入っている。それなのに、1週間前の日曜日、今日は誕生日だからとケーキを買い、祝った。最初こそノッてくれていた家族に「今日・・・誕生日?」と疑問を打ち明けられたときは、自分に起こったことが理解できず、焦った。

 

その日が何日であるかを勘違いしていたわけではない。ということは誕生日を覚えていなかったんじゃないか、と言われそうだけれど、それは違う。ではなぜ勘違いしたのか。そんなの、説明できない。自分が一番分からなくて戸惑っているのだから。

 

変な感じの1週間が過ぎ、正しい誕生日当日、またケーキを買って祝う。年間通してケーキは大好きで、誕生日云々関係なく買って食べる日常だ。ケーキを食べるのに「誕生日だから」という理由は必要ない。「いつだって食べたい」という、心に巣喰うほんのわずかな欲が、家族の誕生日の記憶を頭の中ですり替えたのかもしれない。