夜空を眺める

f:id:bibbidi-bobbidi-do:20200614202740j:plain


新居への引越しの機会に、絵を描いてもらった。絵をオーダーしたのは、はじめてだ。清水の舞台から、ちょっと飛び降りた。

 

HASHIOTO HIROMIさんの作品は以前から好きで、イベントや個展に何度か行っていた。一面に広がる壮大な夜の世界が、自分の心を浄化してくれている感覚が、眺めていると、ある。

 

実家で、暑い夜、庭に出てなんとなく星空を眺めていた時のことをふと思い出す。静かで、風がつめたくて、ちょっと寂しい感じ。でも、ありきたりな表現だけれど、星空を眺めているとそのスケールの大きさにおののいて、それにひきかえいまの自分が抱えている悩みのあまりの小ささに、ぼうぜんとする。なんだ、大したことないじゃないか、と自らに言い、気を奮い立たせることができるくらい、夜空には大いなる力がある。

 

そんな夜空を、優雅に泳ぐ鯨。鯨は自分にとって、強くて、優しくて、おおらかで、寛容で、謙虚で、聡明で、とにかく大きなオトナの象徴。そういうオトナになりたいという想いがある一方、そこには到底到達しえない自分の弱さを情けなく思う。この絵を眺めている時くらい、もっと自分に自信を持てないか。

 

屋根の上から鯨をぼんやりと眺める星の子に、自分の想いを重ねる。まるで迷いのないかのように、まっすぐに正面を見据えて泳ぐあの鯨のようになりたい。そんな憧れの存在を描いてくれた、作家さんとの出会いに感謝している。