1か月に一度の散髪

今年初めての美容院。ちょっと髪が伸びすぎて、うっとうしと感じるようになったからだ。

 

尊敬する松浦弥太郎さんが「2週間に一度散髪する」ことを意識しているということを知って以来、自分も、まぁ2週間に一度とまではいかないまでも、1~1.5か月に一度、髪を切ることを習慣にしようと思うようになった。髪が短い方がさっぱりしていて過ごしやすいという理由もあるけれど、それよりも、社会人として最低限の身だしなみを頭から整えておこうという気持ちが強い。こうして、まだ見ぬ尊敬する他人に少しでも近づきたいと行動に移す。

 

マスターに会ったのは社会人になってすぐだから、もうすぐ14年になる。それから定期的に会って、他愛のない話をしながら、髪を切ってもらっている。改めて、贅沢で貴重な時間なのだということを知った。問題は、4月に引っ越したら散髪をどうするのか、ということだ。いままで千葉から都内まで通っていたその通勤時間を、職場近くに引っ越すことで大幅に減らせるという点が大きなメリットなのに、1~1.5か月に一度、いままで通勤に要した時間を使って千葉まで散髪に行くのもどうなんだろう。若干の不安はあるけれど、今現在、引っ越し先で新しい散髪屋を探すより、いままで通りしれっと、「あ、どうも」なんて言いながらいつもの美容院へ行く方が自分にとって自然だと感じている。そう思えるのはきっと、社会人になってからこれまでの約14年間、髪を切り続けてくれたこの美容院が、清潔で、アットホームで、楽しくて居心地の良い時間を与えてくれるからに他ならない。「住む街を変えたら美容院を変えるのは当然。新しい美容院を開拓することで新しい美容師を知り、視野が広がる」そういう考えもあるのだろうけれど、いまの自分にはどうもしっくりこない。

 

「やっぱりイエモンですよねぇ」閉店間際で他にお客さんがいないからだろう、自分のために好きな音楽をかけてくれた。「球根」を聴くと必ず身体に流れる電流で、シャンプーをしてもらっている自分の頭が動かないように必死に止める。「最近本は何を?」「松浦弥太郎さんの本を。これなんですけどね。」「へぇ、いいですねぇ。40歳はとうに過ぎちゃったけど。よし、買おう」松浦弥太郎さんのように素直で正直、他人が喜ぶようなことをさらっと口にしてくれるこのマスターがかっこいいと思うから、松浦弥太郎さんがそうであるように、せめて一か月に一度、髪を切ってもらうことを習慣にして、その贅沢で貴重な時間をこれからも味わい続けたいと思う。

 

40歳のためのこれから術 幸せな人生をていねいに歩むために

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  • 作者:松浦 弥太郎
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2012/11/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)