音楽との出会い方

去年の紅白歌合戦にも出場したそのミュージシャンの曲をカーステレオで聴きながら、最近の音楽との関わり方をふと考える。10年15年前の自分だったら、たぶんこの曲を聴いても、良いと思わなかったんじゃないかと思う。なんだよ、大衆受けを狙っちゃて、なんて言いながら。声がなんか気に入らないんだよなぁ、なよなよしててさ、なんて言いながら。でもいま一曲通して聴くと、いいじゃんこの曲、って思う。身体が快く受け入れるメロディの範囲が広がったのだろうか。いや、きっとそんな大げさなことではなくて、なんとなく聴き心地良さを感じる何かがあればいいと思えるようになったんだと思う。きっと昔は、ものすごいかっこいい曲じゃなかったら満足しないぞ、さぁこい、と身構えて聴いていたんじゃないか。

 

帰宅して、自分のCD保管リストを見たら、大好きな二大ロックバンドのアルバムばかりで、視野が狭いと思った。好きな曲を聴いていれば良いと言えばその通りなんだけれど、でも違う曲にも触れたい。違う曲の良さも感じて、例えばそれを他人に勧められるようでありたい。

 

「ラジオで聴いて、いいなぁこの曲って思って、調べて、CDをアマゾンでポチっちゃった」なんて言いながら、自分の力だったら絶対に出会わなかったであろう洋楽を教えてくれた。それを聴いたら、確かにいい曲だ、いい声だ、と思えたから、まだまだ世の中の知らない素敵な音楽に出会う奇跡を大事にしたいと思う。